Z-Wave認証のフローとチェックポイント:IoT時代の無線規格を知る【Z-Wave編】(5)(3/3 ページ)
ホームネットワーク向け無線規格として、海外を中心に普及が進む「Z-Wave」について解説していく本連載。連載最後となる今回は、認証フローとチェックポイントについて解説する。
対処できない課題と対応策
Z-Wave認証では、各センサーの挙動までは規定がない。特にバッテリー駆動の人感センサーは、メーカー毎にバッテリーの駆動期間を延ばすために、さまざまな工夫を行っているため、挙動が異なる。センサーの前にいる人の実際の動きに応じて、どのようにコマンドが送られてくるのか、サービスにどう利用するのかを検討しながら、確認して選ぶ必要が出てくる。例えば、あるセンサーは人感を検知すると、コマンドを送った後に3分間のスリープに入る。この間、人がいてもコマンドは送られない。スリープ期間は変更できることが多く、提供するサービスに応じて調整が必要といえる。
また、センサーの精度についてもZ-Waveの認証外の事項だ。湿度センサーでは、センサーの動作原理上、経年劣化が多くなりる。この経年劣化をどの程度許容するかなども提供するサービスによって、センサーを選ぶポイントになるだろう。
海外のケースでは、大手文具メーカーのStaplesが手掛けるホームコネクトサービス「Staples Connect」がある。複数のZ-Waveセンサーなどの提供を受ているが、独自のStaples Connectという看板のもとで選ばれたもののみを推奨品としている。
Z-Wave SDK
Sigma Designsが2015年6月に発表したSDKのVersion6.60では、センサーなどスレーヴとして動作するノードに対するソフトウェアアップデート機能(OTA:Over The Air update)が追加された。Z-Wave機器開発用に2つのキットも用意しており、ゲートウェイ開発用キット「Controller Development Kit」と、センサーなどの端末開発用キット「Embedded Development Ki」が提供されている。
Controller Development Kitには、すぐにゲートウェイを構築できるZ-Wave Over IP「Z/IPGW」のソースコードが含まれる。Z/IPGWは、メッシュネットワーク上で集約したZ-WaveのデータをUDPにパケットし、クラウドと送受信する機能を持っている。Z-Waveのコマンドを解析するためのクラウド用ソフトウェア「Z-Ware」もソースで提供され、開発用のテストクラウドもSigma Designsが運用を行っているため、すぐに開発ができる体制が整っている。また、Z/IPGWでは、IPv6に対応したコードや、Apple HomeKit、AllJoyn、Threadに対応したソフトウェアレイヤーも提供している。
Embedded Development Kitは、内蔵8051を使い、周辺回路のデバイスドライバ開発が可能になる。あらかじめ、照明用のサンプルコードなどが含まれており、これをベースにコードを追加開発できる。なお、8051のコンパイラ「Keil PK51 Version9.53」以降が必要だが、コンパイラは含まれていない。別途用意する必要がある。
SDKには両機と共通で、Z-Wave対応モジュール「ZM5101」が搭載されたボードなどのハードウェアが付属する。開発用のPCとUSBケーブルで接続し、RF信号のやりとりや、開発したファームウェアの書き込みが可能となっている。キットには、米国向け、欧州向け、日本向けと全世界対応可能な3種類のハードウェアが含まれている。
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