マイコン周辺回路設計テクニック ―― 電源編:Q&Aで学ぶマイコン講座(31)(1/4 ページ)
マイコンユーザーのさまざまな疑問に対し、マイコンメーカーのエンジニアがお答えしていく本連載。今回は、中級者から上級者の方からよく質問される「マイコン周辺回路設計テクニック ―― 電源編」です。
素朴な疑問から技術トラブルなどマイコンユーザーのあらゆる悩みに対し、マイコンメーカーのエンジニアが回答していく連載「Q&Aで学ぶマイコン講座」。
今回は、中〜上級者から多く寄せられる質問です。
連載第15回の「マイコン周辺部品の選び方――電源編」で電源設計の基本的なポイントを学びました。この記事の最後で説明された突入電流について、対策を含め、もう少し詳しく教えてください。また、突入電流以外にも電源回路を設計する上で落とし穴になるような注意点があれば教えてください。
電源投入時、電源ラインに瞬間的に大きな電流が流れます。これを突入電流と呼びます。突入電流については、本連載の15回目でデカップリングコンデンサーなどの外付けコンデンサーを充電する電流の影響で発生すると説明しました。そして、突入電流は、電源電圧降下による誤動作などを引き起こします。
図1にSTマイクロエレクトロニクスのマイコン「STM32L151」を使った突入電流の実測波形を示します。図1(a)にマイコン単体だけの場合、図1(b)にはデカップリングコンデンサー(メーカー推奨値)を付けた時の場合を示します。この2つを比べると、マイコン単体の突入電流は比較的小さいので、デカップリングコンデンサーを調整すれば、突入電流を抑えられることが分かります。具体的には、小さな容量でも、効率的にノイズを除去できる種類のコンデンサーを選択することが必要です。また、ピーク電流を抑えるためにコイルなどを挿入する方法もあります。
突入電流以外に留意したい“電源設計の落とし穴”には、グランドノイズでグランド電位が瞬間的に上がってしまう現象や、コンデンサーの種類が適していなかったために、ノイズ除去が不十分になってしまうことなどがあります。これらは、次ページ以降に実例を挙げて、詳しく説明します。
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