Threadにおけるボーダールーターの役割(後編):IoT時代の無線規格を知る【Thread編】(9)(4/4 ページ)
ホームネットワーク向け無線規格として注目を集める「Thread」を解説する本連載。今回は、Threadネットワーク内のノードと外部ネットワークにある他のデバイスとの接続を行う役割を持つ「ボーダールーター」のオペレーションと任務実行の例を解説する。
DHCPv6サーバの役割の移管
新しくボーダールーターの機能を持つBR2が、ネットワークに加わったと想定する。BR2はBR1と同じ外部LANセグメントに接続されているか、外部ネットワークを通じてBR1に到達できる。また、BR1とBR2が上位方向のコンフィギュレーションで、同じグローバルプレフィックスに委任していると想定できる。
BR1とBR2は、どちらがThreadネットワークに対してグローバルプレフィックスベースのアドレス割当てを担当するDHCPv6サーバの存在として機能するのか、外部ネットワーク内での選挙プロトコルを用いることが期待される。
BR1とBR2は共にTMFを用いてリーダーにそれぞれの情報を送り、グローバルプレフィックスに対して外部ルートの一部としてThreadネットワークデータに含むようになる。しかし、いずれかのデバイスだけがDHCPv6サーバ情報を含んでいる。
BR1が担う役割:外部ルーティング、コミッショニングリレー
BR1から移管した役割:リーダー、コミッショナー、グローバルプレフィックスのDHCPv6サーバ
その他のトピック
IPv6移行技術
IPv4からIPv6への移行を促進する幾つかの一時的なメカニズムの利用が広まっている。IPv4しか構内LANにないボーダールーターを経由したThreadネットワークの通信では、NAT64の亜種を用いる場合がある。これをボーダールーターに組み込むことが推奨される。
IPv6のインフラが上位ネットワークに存在しない場合、ボーダールーターのアプリケーションは他の技術を選択して組み込むことができるが、ネイティブでないメカニズムの多くは一般ユーザーに直接扱われるのにふさわしくないセットアップの複雑さを持つものがほとんどである。ボーダールーターアプリケーションは、ネイティブでないメカニズムを使用しないよう自動構成するか使用を禁止することが期待される。
ホームネット
IETF(Internet Engineering Task Force)により、家庭のネットワークがだんだん複雑になることによるコンフィギュレーションのオーバーヘッドが大きくなる問題点を解決すべく、Homenet Working Groupが結成された。
Threadネットワークをホームネット環境に組み込むという観点からは、Homenetで策定された仕様がより自動的にThreadボーダールーターのインタフェースのコンフィギュレーションに再利用でき、Treadボーダールーターが外部ネットワークでよりシームレスに同期して運用することができるようになると期待している。
特に、HNCP(Home Networking Control Protocol)が、家庭内ネットワークの構築において、アドレスとネットワーク境界のコンフィギュレーションの自動化やルーティングプロトコルのシームレスな利用を可能としている。
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