漏れインダクタンスを使用したフライバックコンバーター(3) 小信号モデル化:電源設計(3/6 ページ)
この連載の最終回にあたる第3回では、電圧モードで動作し漏れインダクタンスの影響を受けるCCMフライバックコンバーターの小信号応答について検討します。第2回で紹介した更新後の大信号モデルから、最も簡潔なリニアバージョンを確立する目標に向けてステップ形式で作業を進め、徐々に簡略化した小信号回路図を導き出します。この最終的な回路に基づいて、制御側から出力側への伝達関数を抽出し、漏れインダクタンスが伝達関数の分母である品質係数にどのような影響を及ぼすかを示します。
回路図の簡略化
この回路図から線形化したコンバーターの解析を開始することもできます。さらに簡略化と整理を進めることも可能です。例えば、制御側から出力側への伝達関数で入力電圧Vinは定数です。すなわち、v^inつまりVin(s)は0に等しくなります。このように、入力電圧に接続されるノード「a」は、都合よくグランドに接続できます。ノード「a」をグランドに接続すると、回路を再描画して、より簡潔なバージョン(図5参照)を明らかにできます。この回路の周波数応答を図3の周波数応答と比較してテストし、新しく整理したモデルに存在する誤りを検出します。
電流源B7は電圧源B1に対して直列です。さらに簡略化を進めるために、B7の負端子をグランド基準に変換する一方で、B1は出力をノード20に接続した個別信号源に変換します。新しい回路を図6に示します。ノード20をB10信号源(自らの定義によって更新される)で使用し、両方の電流源B7/B2を並列化して単一電流源を形成できます。その結果は図7に示す通りであり、これが解析対象となる最終回路です。信号源Ivを表す式が、d1信号源に既に含まれていることに注意してください。この回路の周波数応答を、大信号参照モデルの周波数応答と比較する形で作成したプロットを図8に示します。位相応答と振幅応答が同一なので、この最終的な表現について作業を進められます。
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