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漏れインダクタンスを使用したフライバックコンバーター(3) 小信号モデル化電源設計(4/6 ページ)

この連載の最終回にあたる第3回では、電圧モードで動作し漏れインダクタンスの影響を受けるCCMフライバックコンバーターの小信号応答について検討します。第2回で紹介した更新後の大信号モデルから、最も簡潔なリニアバージョンを確立する目標に向けてステップ形式で作業を進め、徐々に簡略化した小信号回路図を導き出します。この最終的な回路に基づいて、制御側から出力側への伝達関数を抽出し、漏れインダクタンスが伝達関数の分母である品質係数にどのような影響を及ぼすかを示します。

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式の生成

 最初にインダクター電流を検討します。インダクター電流はノード「c」の電圧をインダクターのインピーダンスで除算した値です。ノード「c」の電圧は、電圧源B10に直列となるノード「p」の電圧によって定義されます。ノード「p」の電圧は単純に、トランスの巻線比を通じて1次側に反射された出力電圧を差し引いた値です(ダイオードの順方向降下を無視)。次式が得られます。

 これまでにLpを流れる電流が定義されている(図7のd1信号源にあるI(Vc))ので、信号源d1を書き換えられます。

 d1(s)についてこの式を解くと、次のようになります。

 出力電流は1次側電流をトランスの巻線比Nでスケール化した値です。これは電流源B7によって定義される電流から、インダクターを流れる電流を減算した値で、式15で定義されます。

 この式で、Icは本連載の第2回で既に定義されているDC値です。

 図9に示すように、この電流はrC、Cout、負荷抵抗RLで形成されるインピーダンスを循環します。


図9:最終的には、出力コンデンサー、そのESRおよび、負荷抵抗RLで形成される複雑なインピーダンスをドライブするトランスが含まれる

 この出力電流は、次のように定義することもできます。

 インピーダンスZ1は、rC+CoutをRLと並列にするか、回路の高速分析手法(Fast Analytical Circuits Techniques:FACT)を適用する方法で、迅速に導くことができます。結果を整理すると、次式が得られます。

 ここで、式18式20式21の各式を組み合わせると、次式が得られます。

 ここでの関心事は、Voutを解き、伝達関数を整理して2次多項式にすることです。Mathcadを活用すると、次式が得られます。

 ここまで、以下の新しい係数を決定しました。

 文献に掲載されている、従来のフライバックコンバーターに関する伝達関数(漏れインダクタンスを含まない)は式23の形式に従い、以下の定義を使用しています。

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