ヒューズ(1) ―― ヒューズとは:中堅技術者に贈る電子部品“徹底”活用講座(7)(3/4 ページ)
電子部品について深く知ることで、より正しく電子部品を使用し、「分かって使う」を目指す本連載。今回からは「ヒューズ」を取り上げます。第1回は、ヒューズの役割や構造、種類の他、ヒューズに関する安全規格について解説します。
ヒューズと安全規格
ヒューズは機器の異常時に安全に機器を遮断するためのものです。
いわば安全を担保する最後の砦(とりで)ですので、ヒューズについては多くの国で独自規格または国際規格に適合した部品の使用が要求されています。表1に主要な安全規格名と認可マークを示しますが、認可された規格については口金部などに表示することが求められます。
表1:主要安全規格と認可マーク
*電安法:電気用品安全法
日本の電安法には旧電取法に相当する省令1項とIECの調和規格に該当する省令2項があります。
**欧州のCEマーキングは安全規格ではなくて自由流通の証明表示ですが、表示するためには低電圧指令(LVD2006/95/EC)の必須要求事項を満たし、さらに、該当安全規格に適合しなければなりませんので安全性を確保していると言えます。
UL認証マークの種別
ULは1894年に設立された保険業界による非営利企業Underwriters Laboratories Inc.が前身でしたが2012年にUL LLCという非公開(譲渡制限)営利企業に移行しています(LLC:有限責任会社)。
ULは国家規格ではありませんし、法律的に表示が義務付けられたものではありませんが米国の多くの自治体、州などが域内販売品のULでの検査を求めており、実質的に国家規格と同等の扱いになっています。
ULやc-ULには次の2種類の表示マークがあります(図中の“◉”は®です)。
- ULリスティングマーク
特性、材料、試験条件などがUL規格に完全適合していることをULが認めた部品です。この認可マークを持つ部品は申請時に再試験されることはありません。“マルユー”と呼ばれるときもあります。
ULレコグナイズドコンポーネントマーク
ULが部品メーカー提供の試験条件で試験を行い、使用を認めたものです。部品の使用条件は申請時の条件に制限されます。“逆ユー”や“RU”と呼ばれるときもあります。
リスティングマークとの違いはUL規格の試験条件を一部変更できることです。ただし、申請時にはその使用条件と試験条件の関係が審査されます。
また、CSAも同様な2種類の認可システムを運用しています。▲マーク付きがCSAコンポーネントアクセプタンスマークでULレコグナイズドコンポーネントマークと同内容です。
CSA規格とUL規格は類似性が高いので互いの試験所においては相互認証システムを採用しており、ULの試験所でCSA向けの認証したものはULマークに添字cを付与することでCSA対応であることを表わします。CSA、UL規格両用のものは添字usも同時に表示することになります。CSAの試験所でUL向けの認証をしたものはc-ULと同様なCSA-NRTLマークを表示します。
*NRTL:米国国家認証試験機関/National Recognized Testing Laboratoriesの略で、米国の機関(OSHA)から認定を受け、連邦規格に基づいてさまざまな製品の安全試験、認証を行うことを認められた機関です。CSAは認証済みです。
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