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ダイオードで学ぶパワーエレクトロニクスの基本イチから学ぶパワエレ入門(1)(1/4 ページ)

半導体素子の基本を学びながら、パワーエレクトロニクスの核心に迫っていく本連載。今回は手始めとして、電気と半導体の基本を簡単に説明しつつ、半導体素子の基本であるダイオードを使った電力変換について解説していきましょう。

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パワーエレクトロニクスとは

 私たちが日々利用している電力は、供給電圧や周波数をはじめ、交流や直流といった電力の形そのものを用途に応じて変換することで、効率的かつ適切に使うことができます。電力の変換には図1に示すようにさまざまな方法があるのですが、それぞれ適切な半導体素子を用いています。また、電力のオンとオフの切り替えにも、半導体素子は活躍しています。パワーエレクトロニクスとは、このように半導体素子で電力を制御する技術分野のことです。


図1:電力変換について

 本連載では、半導体素子の動作を理解しつつ、半導体素子が電力変換にどのように利用されているかを説明し、パワーエレクトロニクスの核心に触れていきます。今回は手始めとして、電気と半導体の基本を簡単に説明した上で、半導体素子の基本であるダイオードを使った電力変換について解説しましょう。

電気が流れる原理


図2:原子の構造

 私たちの身の回りの物体は全て、原子という小さい粒が多数集まることで構成されています。さらに、原子の中心である原子核の周囲には図2のように、電子というもっと小さな粒が衛星のように周回しています。重要なのは、金属では電子が自由に動ける状態にあるということです。自由に動ける状態の電子は特別に「自由電子」と呼びます。また、電子はマイナスの電気に帯電しているのですが、電子に帯電した電気は「電荷」と呼びます。電子のようにマイナスに帯電した電気は「負電荷」、逆にプラスに帯電した電気は「正電荷」といいます。

 では、自由電子を含む金属体に電圧をかけたときの電子の動きを見てみましょう。電圧をかけていない状態では、図3のように金属中に電子があるだけです。


図3:物体と自由電子

 ここで両端に直流電圧(プラスとマイナスの電荷)を与えると、負電荷である電子はプラス側に引き寄せられ、図4のように全ての自由電子が同じ方向に移動します。このように電荷が移動する現象が電流です。なお、発生する電流の向きは負電荷の動きと逆になります。


図4:自由電子の動き

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