1μA分解能電流測定機能を搭載した3出力DC電源:キ―サイト E36300Aシリーズ
キーサイト・テクノロジーは、暗電流や待機電流に対応する1μA分解能電流測定機能を搭載した3出力DC電源「E36300A」シリーズを発売した。色分けした3チャネル全ての電圧や電流をディスプレイに同時に表示できる。
電源1台で暗電流や待機電流を測定
キーサイト・テクノロジーは2017年6月、暗電流や待機電流に対応する1μA分解能電流測定機能を搭載した3出力DC電源「E36300A」シリーズを発売した。参考価格は、電力80Wの「E36311A」が14万1579円、同じく電力80Wの「E36312A」が17万8102円、電力160Wの「E36313A」が21万5820円(いずれも税別)となる。
E36300Aシリーズは、大型カラーディスプレイや直感的な操作が可能なユーザーインタフェース、最新デバイスに接続できるUSBインタフェース(機種によりLANやGPIBにも対応)を搭載している。0.01%の優れた電源変動や負荷変動、50μs未満の高速トランジェント応答時間、1μA分解能の低レンジ電流測定を特徴とし、測定対象物の損傷を防止する過電圧、過電流、過熱保護機能を備えた。
最大電圧は、E36311Aが6V、±25V、E36312AとE36313Aが6V、25V、25V。最大電流は、E36311AとE36312Aが5A、1A、1A、E36313Aが10A、2A、2A。高精度電流測定機能により、計測器を外部接続することなく電源1台で暗電流と待機電流を測定できる。また、データログや電源投入のシーケンス模擬、電圧変動模擬などに対応するアドバンス機能も備えた。
メニュー形式のフロントパネルインタフェースを採用し、操作性も向上している。4.3インチのカラー液晶ディスプレイには、色分けした3チャネル全ての電圧と電流を同時に表示できる。電圧用と電流用の2つのノブを備え、ロータリーエンコーダーによる正確な設定が行える。他に、各チャンネルでの個別オン、オフ機能なども搭載し、生産性向上に寄与する。
同社のBenchVueソフトウェアに対応し、パラメーターやステータスアラートの設定、パワー出力の表示、電圧と電流の記録など、電源の制御が行える。付属のテストフロー機能を使用すれば、テストシーケンスへ組み込むことで、電源のセットアップと測定を迅速に自動化できる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 部品選定から低電圧/高電圧回路測定まで
電源設計に求められる要件は、多くなっています。高効率/高電力密度、迅速な市場投入、規格への対応、コストダウンなどを考慮せざるを得ず、電源設計におけるテスト要件も複雑化しています。そこで、本連載では、3回にわたって、複雑な電源設計プロセスの概要と、プロセスごとのテスト要件について説明していきます。 - 従来比約30%小型化したAC-DCユニット型電源
TDKは、単機能タイプの小型AC-DCユニット型電源「RWS-B」シリーズに新製品として、1000W出力の「RWS1000B」と1500Wの「RWS1500B」を追加した。現行の同容量モデルと比べ、約30%小型化している。 - スペクトラム拡散で電源回路のEMIを低減
スイッチング電源は雑音の発生源として悪名が高い。いわゆるスイッチング雑音を発生するからだ。この雑音は配線パターンなどを介して放射電磁雑音(EMI)となり、電源回路の外部の周辺回路などに飛び込む。対策としては、EMIフィルターを使う方法が考えられるが、実装に要する基板面積が大きくなり、部品コストも増えてしまうため難しい。そこで、今回は、スイッチング電源のスイッチング周波数を変調することで、EMIを低減する方法を紹介する。 - 電源修理のコツ ―― 発熱部品と空気の流れ
今回は、“電源修理のコツ”を紹介したい。電源は「電解コンデンサーを全て交換すれば、修理できる」という極端な話もあるが、効率よく確実に電源を修理するためのポイントを実例を挙げながら説明していこう。【訂正あり】 - 最大95%の効率実現したDC-DC降圧電源モジュール
インターシルは、高い電力密度と最大95%の効率を発揮するシングルチャンネルDC-DC降圧電源モジュール5A品「ISL8205M」と3A品「ISL8202M」を発表した。 - 完全統合型の信号/電源アイソレーターを用いた低放射の実現
絶縁を行うと、コモンノード電流の大きなリターンループが生じ、絶縁システムで放射が起きる。今回の記事では、完全統合型の信号/電源絶縁ソリュ−ションを使用して放射を小さくする方法について説明する。