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サーミスタ(1) ―― NTCサーミスタとPTCサーミスタ中堅技術者に贈る電子部品“徹底”活用講座(11)(4/4 ページ)

今回から「サーミスタ」を取り上げます。サーミスタの分類について簡単に説明するとともに、サーミスタを使用した回路動作の概要について解説していきます。第1回は、NTCサーミスタとPTCサーミスタの違いとともに、NTCサーミスタによる突入電流制限回路について考察します。

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NTCサーミスタの温度特性

 NTCサーミスタの抵抗は負の温度特性を持ちますが、一般的には近似式として4式が使えます。

式4

 ここで各定数は、

Ra:絶対温度Ta(K)でのゼロ負荷抵抗
Rb:絶対温度Tb(K)でのゼロ負荷抵抗
B:B定数(K)
(ゼロ負荷抵抗とは測定電流による自己発熱が無視できる条件での測定値)

です。

 4式から分かるように、ゼロ負荷抵抗値の対数と絶対温度の逆数とが直線関係にあることが分かります。

 B定数は厳密には定数でなく、温度特性を持ちますが簡易的には5式から算出されます。

5式

図4:NTCサーミスタのパラメーター温度特性
出典:http://www.ohizumi-mfg.jp/products/tech01.html

 これらを踏まえてNTCサーミスタの特性例は図4に示すようになります。また、この他にも、特性項目としては熱時定数、熱放散定数、温度低減率などがあります。

*)熱放散定数とは、温度安定でサーミスタ素子の温度を自己発熱によって1℃上げるために必要な電力を示す値で、消費電力を素子の温度上昇分で除して求めます。

 なお、ここで取り上げた突入電流制限用NTCサーミスタとしては、
寸法的には、
A寸法(外径)=8〜25mm         B寸法(厚み)=5〜9mm
C寸法(リード径)=Φ0.6〜0.8mm     D寸法(リードピッチ)=5〜10mm

特性的には、
抵抗値:1〜10Ω      B定数:2700〜3000K
許容電流:1〜10A     熱放散定数:10〜35mW/℃

のものが多く使われているようです。

 次回はこの突入電流の対策回路の実際について説明いたします。

執筆者プロフィール

加藤 博二(かとう ひろじ)

1951年生まれ。1972年に松下電器産業(現パナソニック)に入社し、電子部品の市場品質担当を経た後、電源装置の開発・設計業務を担当。1979年からSPICEを独力で習得し、後日その経験を生かして、SPICE、有限要素法、熱流体解析ツールなどの数値解析ツールを活用した電源装置の設計手法の開発・導入に従事した。現在は、CAEコンサルタントSifoenのプロジェクト代表として、NPO法人「CAE懇話会」の解析塾のSPICEコースを担当するとともに、Webサイト「Sifoen」において、在職中の経験を基に、電子部品の構造とその使用方法、SPICE用モデルのモデリング手法、電源装置の設計手法、熱設計入門、有限要素法のキーポイントなどを、“分かって設計する”シリーズとして公開している。


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