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セキュリティ機器内蔵の車載用プロセッサ:STマイクロ Telemaco3Pファミリー
STマイクロエレクトロニクスは、セキュリティ機器を内蔵した車載用プロセッサ「Telemaco3P(STA1385)」ファミリーを発表した。独立した専用のハードウェアセキュリティモジュール(HSM)を実装している。
専用のハードウェアセキュリティモジュールを実装
STマイクロエレクトロニクスは2017年11月、セキュリティ機器を内蔵した車載用プロセッサ「Telemaco3P(STA1385)」ファミリーを発表した。独立した専用のハードウェアセキュリティモジュール(HSM)を実装し、ネットワークの脅威からコネクテッドカーを保護する。
Telemaco3Pファミリーは、電源制御回路やCAN FD、ギガビットイーサネット、セキュアなデジタルI/Oインタフェースを搭載。車内の通信ゲートウェイとして、インフォテインメントシステムやECUなどの車載エレクトロニクスと接続して使用できる。
実装するHSMは、独立したセキュリティ保護装置として動作し、データ通信の監視、暗号化、メッセージの認証を実施する。これに加え、受信メッセージや外部の接続機器を安全に認証し、データ漏えいを防止する。
車載用の機能安全規格「ISO 26262」の安全性レベルBに準拠し、車載ソフトウェアの標準仕様「AUTOSAR」の仕様にも適合。動作温度範囲は最大105℃で、ルーフの上や直下に設置されるスマートアンテナの内部など、高温環境下での使用にも対応する。POSIX準拠のオペレーティングシステムを動作させることが可能で、用途に適したOSを選択できる。
STA1385は現在サンプルを出荷中で、2018年中頃に量産開始を予定している。
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