モーター制御の設計を迅速、簡略化するSDK:STマイクロ X-CUBE-MCSDK
STマイクロエレクトロニクスは、32ビットマイクロコントローラー「STM32」向けに、モーター制御の設計を迅速、簡略化するソフトウェア開発キット「STM32 PMSM FOC SDK v5.0(X-CUBE-MCSDK)」を発表した。
STM32Cubeとの併用でモーター制御設計が簡略化
STマイクロエレクトロニクスは2018年3月、同社の32ビットマイクロコントローラー「STM32」向けに、モーター制御の設計を迅速、簡略化するソフトウェア開発キット「STM32 PMSM FOC SDK v5.0(X-CUBE-MCSDK)」を発表した。ソフトウェア開発ツール「STM32Cube」と併用することで、エアコンや生活家電、ドローン、ビルオートメーションシステム、産業機器、医療機器、電気自転車などの機器に適したモータードライバーが容易に開発できる。
X-CUBE-MCSDKは、永久磁石同期モーター(PMSM)の磁界方向制御(FOC)が可能な前バージョンをベースとし、STM32Cubeハードウェア抽象化レイヤー(HAL)やLL API(Low-Level Application Programming Interface)向けに最適化した。これにより、モータードライバーの開発やカスタマイズ、デバッグが容易になった。ソースコードの編集も可能で、柔軟に制御やカスタマイズを実施できる。
また、初期化コード自動生成ツール「STM32CubeMX」のワークフローを活用し、プロジェクトのセットアップ、マイクロコントローラーのペリフェラル設定、イニシャルコードの生成を自動で行う。プロジェクト開発やデバッグと同時に、リアルタイムに制御ループパラメーターを確認、変更することもできる。
最大トルクや電流制御などの制御技術を可能にするアルゴリズムを搭載しており、効率の最大化に加え、負荷状況の変化にも対応できる。他に、速度範囲を拡大する弱め磁束制御や高速での安定性を向上させるフィードフォワード制御、ローターの回転時でもスムーズに駆動を開始する「start-on-the-fly」機能も搭載した。
既に配布を開始しており、同社のWebサイトから無償で入手できる。
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