オシロの多彩なトリガ機能を使いこなそう:知っていれば必ず役に立つ(4/4 ページ)
今日のDSOには、比較的単純なエッジトリガ、もっと複雑なスマートトリガ、そして、さらに高度な拡張トリガが搭載されています。これらマルチトリガの使い方を見ていきましょう。
マルチステージトリガー/条件付きトリガー
マルチステージトリガーは2個または3個のトリガーソースを使います。イベントは、基本トリガー(エッジ、パルス幅、パターンなど)と同様に正確に設定されますが、設定された1個(もしくはそれ以上)のトリガーイベントが、最終トリガーソースからのトリガーを作動させる役割を果たします。
最も初期のマルチチャネルトリガーは、2個のトリガーを利用する限定付き(条件付き)トリガーです。限定要素がイベントAにトリガーを設定し、そのトリガーソースがイベントBにトリガーします。
ノーマルトリガーモードの場合は、トリガーはイベントBの後で自動リセットされます。イベントAには、エッジ、ステート、ロジックパターン、あるいはパターンステート(ユーザー設定のイベント回数または時間にわたって維持されるパターン)があります。イベントBの選択肢は、イベントAの種類によって変わります。イベントAがデジタルパターンあるいはパターンステートであり、イベントBはエッジのみということも可能です。
限定付きトリガーは、バス上にあるICのトラブルシューティングを行う際に便利なものです。ICが作動状態にある時のみ、ICの信号を観測できます。チップセレクトにトリガーを用意し、任意のバス信号にトリガーすればよいのです。
カスケードトリガーは、複数のイベントに基づいて作動する、より高度なトリガーです。最初のイベント、もしくは連続する複数のイベント(最大3個)にトリガーを設定し、その後の特定条件に対してトリガーさせるものです。図6は代表的なカスケードトリガーおよび各段のセットアップの画面を合成表示したものです。
図6:3段カスケードトリガーのセットアップ画面の一例。チャンネル2の波形(ピンクの波形)は、左端のエッジ(0.5Vを超える正エッジ)でトリガーイベントを生成し、そこから200ナノ秒の間ホールドオフ。その後、チャンネル1の波形(黄色の波形)が0Vを超える正エッジでイベントBを生成。これらの準備が整った位置で、325ピコ秒を超える立ち上がり時間(イベントC)を見つけ、そのポイントにトリガーしています(クリックで拡大)
図6において、パラメータP1は捕捉ウィンドウ全体にわたる複数回の捕捉の全部の立ち上がり時間の指標です。P2は、ゲート内での立ち上がり時間計測によるトリガーポイント近傍の値のみを示します。P2の値は、トリガー作動時の立ち上がり時間です。全ての立ち上がり時間の概略範囲は、300ピコ秒から344ピコ秒です。図のトリガーに対応する立ち上がり時間計測値は、326ピコ秒となります。
カスケードトリガーには、トリガーを作動させるための限定要素列におけるイベントとして計測値、ロジックパターン、あるいはスマートトリガーが利用可能です。
トリガー帯域幅
オシロスコープの信号パスおよびトリガーパスは一般的に異なります。このため、エッジトリガーの帯域幅が信号パスの帯域幅と異なる(通常は低い)ことになります。スマートトリガーの帯域幅は通常、エッジトリガー帯域幅よりも相当に低くなります。おのおののトリガーモードにおけるトリガー帯域幅は、製造元提供のデータシートに説明されているはずです。
このように、最新のDSOは、多数のトリガーを備えています。各種トリガーの特性と使い方をきちんと理解しておくことで、計測結果を素早く出し、テストのスループットを向上できるはずです。
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