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オペアンプの【出力インピーダンス】を正しく理解するオペアンプを完璧にシミュレーションするために(1)(3/4 ページ)

この連載では、全ての主要オペアンプ仕様やそれらがアプリケーション性能に影響する仕組み、テスト回路設計を支える手法など、オペアンプ用の包括的なシミュレーション・テスト・ベンチを紹介します。

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閉ループ出力インピーダンス ―― Zout

 閉ループ出力インピーダンスZoutは、オペアンプが負帰還を使用した閉ループ構成になっている場合に、そのオペアンプの出力に見られるインピーダンスです。オペアンプに固有の特性で負荷や帰還の変動時にも(大部分は)変化することがないZoとは異なり、ZoutはZo、Aolおよび、帰還回路によって設定される帰還係数βの関数です。

 では、図5に示す閉ループ回路に拡張されたオペアンプ小信号モデルを、もう一度見ていきましょう。


図5:オペアンプ小信号モデル(閉ループ)の概略図

 式2に示すように、オペアンプループが閉じられても、出力インピーダンスはVoutをIoutで除算した値に等しくなります。挙動をより深く理解するために、他の回路素子の関数としてZoutを求めることもできます。

 帰還係数βは帰還ノードに生じる電圧Vfbと出力電圧Voutの比率です。次の式3に使用されている標準的な分圧抵抗式で、Vfbの電圧を計算します。

 オペアンプの非反転入力はグランドに接続されているので、Ve、つまりオペアンプ入力ピン間の誤差電圧はVfbに等しくなります。式3の各項を変形すると、次の式4に示すように、VfbがVoutとβを乗算した値に等しくなることが分かります。

 VeがオペアンプのAolによって増幅され、Voが生成されます。Veはオペアンプの反転入力では正電圧ですが、非反転入力はグランドに接続されているので、次の式5に示すように、負符号を追加することで正しい極性が保持されます。

 出力電流Ioutによって引き起こされるZoでの電圧降下にVoを加算することにより、式6で出力電圧を計算できます。この手順では、計算を簡略化するため、全てのIoutがZoを介して流れるように出力インピーダンスが帰還回路のインピーダンスより大幅に低くなっていると仮定しています。

 式5式6のVoに代入すると、次の式7が得られます。

 式4を式7のVeに代入すると、次の式8が得られます。

 この式を変形してすべてのVout項を左辺にまとめると、次の式9が得られます。

 式の左辺をVoutに関して因数分解すると、次の式10が得られます。

 式の両辺を(1 + β * Aol)項で除算すると、Voutの新しい定義である次の式11が得られます。

 式11式2に代入すると、Zoutの定義である次の式12が得られます。

 このZoutの定義は、閉ループ構成でのZoがオペアンプのループゲイン(Aol * β)に応じて低下することを示しています。Aolは一般に(特に低周波数では)非常に大きいため、結果的にZoutは非常に小さくなります。ただし、周波数がアンプの帯域幅を超え、ループゲインが残っていない状態になると、ZoutはZoの値に近付きます。

 ほとんどのオペアンプメーカーはデータシートにZoutではなくZoを記載していますが、その理由は、Zoが他の回路素子の影響を受けずに、オペアンプ固有の出力インピーダンスを適切に表す特性だからです。ただし、古いデバイスには、データシートにZoutのプロットが記載されているものも数多くあります。また、ZoやZoutは業界内で標準化されている用語ではありません。そのため、データシートを読む際には、どの特性が使用されているのかを必ず把握するように注意してください。

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