高速シリアル伝送におけるジッタの種類とその特長:高速シリアル伝送技術講座(10)(1/4 ページ)
前回は高速シリアル伝送で使用されるSerDes(シリアライザ・デシリアライザ)について説明しました。今回はSerDesなどの高速シリアルI/Fで、波形測定の際に観測されるジッタの種類とその特長について説明していきます。
前回は高速シリアル伝送で使用されるSerDes(シリアライザ・デシリアライザ)について説明しました。今回はSerDesなどの高速シリアルI/Fで、波形測定の際に観測されるジッタの種類とその特長について説明していきます。
TIEとジッタ、EYEの開口について
図1左上の理想波形では、さまざまなタイミングで信号がHighからLow、LowからHighに遷移しています。理想的な信号遷移のため、各信号を重ね合わせてもHighからLow、LowからHighの遷移による波形のクロスポイントは常に一点で安定している状態を表しています。
実際の信号波形では理想波形のHigh/Low信号の中間のクロスポイントを基準とすると、ずれたタイミングで遷移しており、この差を時間間隔誤差、TIE(タイムインターバルエラー)と呼んでいます。この波形のTIEの重ね合わせがジッタになります。
High/Lowの遷移のある実際の信号をオシロスコープで測定すると、信号遷移時のクロスポイントは図1左の基準の黒線に対して左右(速い、遅い)にぶれてスイッチングを繰り返し、これを連続して重ね合わせると図1右の目の開いたような波形が現れます。これをアイ(EYE)パターンと呼び、「アイが開いている」、「開口が十分」などと表現しています。ランダム信号を流した場合のEYEの横軸の開口は、通常1ビット時間(UI:ユニットインターバル)単位で表示されます。
ジッタは、信号遷移の理想と実際の時間間隔誤差(TIE)を繰り返して重ね合わせたものですが、1波形ごとのTIEの時間のずれ量を横軸、回数を縦軸に表示すると、図2左のように1つ以上のピークと裾野が広がる特長を持つヒストグラム(ばらつき分布)が現れます。
図2左の2つのピークを持つジッタでは、図2右の個別にピークを持つ黄と緑の2つの分布の重ね合わせで構成されていることが分かります。それではこのようなヒストグラムに含まれるジッタの種類とその特長について説明していきましょう。
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