代替部品が見つからない減圧ポンプコントローラの修理 (電源編):Wired, Weird(1/3 ページ)
半導体デバイスの製造に使用される減圧ポンプコントローラの修理依頼があった。不具合内容は『スイッチ操作でモーターが動作しない』という内容だった。電源が関係した不具合と想定され、機器の取扱説明書も添えられていたので修理を引き受けることにした。というわけで今回は、この減圧ポンプコントローラの修理を報告する。
半導体デバイスの製造に使用される減圧ポンプコントローラの修理依頼があった。不具合内容は『スイッチ操作でモーターが動作しない』という内容だった。電源が関係した不具合と想定され、機器の取扱説明書も添えられていたので修理を引き受けることにした。
というわけで、今回は減圧ポンプコントローラの修理を報告する。なお、機器名やメーカー名が出ないように配慮している。
電源の動作不良が多発する減圧ポンプコントローラ
図1に依頼された機器の制御部の写真を示す。
減圧ポンプコントローラの制御部は図1の上からDC電源、電源基板、リレー基板、CPU基板と操作表示の基板で構成されていた。操作表示基板は図1の右側にある操作パネルに実装されていた。また、電源基板の左側に三相電源の接続向きを監視する半相リレーが実装されていた。減圧ポンプではモーターの回転方向を決める三相電源の接続順は非常に重要だ。
顧客から『最近は特に電源の動作不良が多発して困っていた』という情報を聞いており、まずは電源基板を確認した。電源基板を取り出して、型名を確認したら「ZD30-2405」(TDKラムダ製)で24Vと5V出力のマルチ出力の電源だった。取り出した電源基板の写真を図2に示す。
図2の右側の3ピンの白いコネクターがAC電源の接続端子だ。この電源はAC100VもAC200Vも接続できる仕様だった。しかし、AC100Vを接続しても左側のコネクターへはDC出力が出なかった。電源のZD30-2405の説明書をWebで入手できたので、電源接続を確認すると、AC100VとAC200Vの入力電圧の切り替えに関する説明があった。図2の上側中央の赤丸のコネクターを差し替えることで、入力電源をAC100VとAC200Vが切り替えられるという。入力コネクターにAC200Vを通電したら左のコネクターからDC電圧が出た。24V出力は24.0Vで正常だったが5V出力は3.5Vしかなかった。5V出力の電圧が低すぎるためCPU基板が動作できなくなっているらしい。
電源基板をひっくり返し5V出力部のパターンを追いかけて、電源回路を詳細に確認した。オシロスコープで5V電源の整流前にあるトランスの出力波形を確認したらDC4Vしかなかった。これでは5Vまでは上がらないだろう。基板のトランスの交換が必要と思われるので、電源基板の5V出力部の修理はあきらめた。
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