DC-DCコンバーターの安全性(1) 感電保護:DC-DCコンバーター活用講座(26)(2/5 ページ)
今回からDC-DCコンバーターの安全性に関して説明します。まずは、DC-DCコンバーターの1つの機能である「感電保護」を取り上げます。
絶縁クラス
安全規格では、主に3つの絶縁クラスが定義されます。
1. 機能絶縁
この絶縁はコンバーターの機能としては十分で、該当する安全分離要件を満たし、故障時に火災危険を生じません。しかし、感電に対する保護はこの絶縁では不十分です。
ほとんどのDC-DCコンバーターは、危険でない電圧から給電されるので、このクラスに該当します。機能絶縁が使用されたコンバーターは、一次電源が故障した場合の感電に対して一定の保護は行うものの、永続的な危険な入力電圧に対する確実な保護手段には分類されません。図1に、機能絶縁を施したコンバーターの例を示します。入出力巻線が互いに重なり合って巻かれており、ワイヤコーティングのみで絶縁されています。このように単純な構造にもかかわらず、最大4kVdcの絶縁電圧を実現可能です。
2. 基礎絶縁または付加絶縁
機能絶縁の要件を満たし、感電に対する基本的な保護対策となるように付加的な絶縁を施されます。絶縁層の厚さは少なくとも0.4mmあり、内部の安全分離も機能絶縁より大きくなります。
基礎絶縁のDC-DCコンバーターは、通常、物理的絶縁層を備えており、絶縁をトランスのワイヤラッカーだけには依存していません。図2に示す例では、トロイダルコアがプラスチック・ケースに収容され、入力巻線と出力巻線を物理的に相互に分離する「ブリッジ」も組み込まれています。フェライトコアは導電性と見なされるので、その場合のケースは各巻線をフェライトコアから絶縁するだけでなく、一次巻線と二次巻線も相互に分離する必要があります。
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