基板にダメージを与えず、簡単に表面実装部品を外す方法:Wired, Weird(1/3 ページ)
修理を行う中で、表面実装部品(SMD)を基板から外さなければならない機会が増えたが、なかなか、うまくいかない。そこで、表面実装部品を基板にダメージを与えることなく、簡単に取り外す方法を模索してみた。今回は、筆者がたどり着いた表面実装部品を簡単に外す方法を紹介しよう。
機会が増えつつある表面実装部品のリワーク
表面実装部品(Surface Mount Device/以下、SMD)を使った機器の修理依頼が増えてきた。数年前まで表面実装タイプの電解コンデンサーを外す時はハンダごて2本を使って外していた。だが、ある日、基板のパターンが狭く、2つの端子のハンダが溶ける時間に差ができてしまい、無理に電解コンデンサーを外してパターンが剥がれてしまった経験をした。ヒートガンをうまく使えばSMDを外せるが、ヒートガンの温度が高すぎて外す部品の周囲の部品のハンダが緩んでしまうこともある。このため周囲の部品に養生テープを貼ったり、ヒートガンの当て方を工夫したりと、細かく配慮しなければならなかった。もっと簡単に初心者でも基板へのダメージを小さくしながらSMDを外せる方法がないかを模索してみた。今回は基板へのダメージが少ないSMDの外し方を報告しよう。まずは、筆者が初めて購入したヒートガンの写真を図1に示す。
図1は出力(消費電力)が1800W(Highモード)と900W(Lowモード)の切り替え機能の付いたヒートガンと、養生用の紙テープだ。
国内の通販サイトで手ごろなヒートガンを探したところ、この安価な1800Wのヒートガンが見つかった。いろいろな形状のアダプターが付属し、出力が半分の900WのLowモードで使えば基板上のSMDを外せそうだったので購入を決めた。
1800Wのヒートガンだと……
早速、このヒートガンを使ってSMDを外した。その手順を図2に示す。
図2の左側はSMDを外す準備だ。このヒートガンは温度が高いので、外したい表面実装タイプのICの周囲に養生用の紙テープを貼り0.5mm程の細いドリルをICのリードに挿入した。次に30秒程度ヒートガンで加熱したらICが自動的に外れた。しかし図2の右の写真で養生テープが黒く焦げていることが分かるだろう。焦げているということは、周囲の温度も350℃以上に上がり、基板や部品に小さくはないダメージを及ぼしているということだ。この方法だと、かなり細かくテープを貼って周辺の部品を保護し、慎重にヒートガンを操って、取り外すICだけを加熱しないと基板や周囲の部品にダメージを与えてしまう。また、ヒートガンが重く片手では作業しにくいこともあり、初心者には難しい方法だった。
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