メモリレコーダーの構造と利用上の留意点:メモリレコーダーの基礎知識(2)(1/4 ページ)
メカトロ機器、電力設備、機械、材料、バイオなど幅広い分野で波形観測に使われる「メモリレコーダー」の基礎知識を紹介する連載第2回。今回は、製品の内部構造、利用上の留意点などについて説明します。
本記事は、計測器専門の情報サイト「TechEyesOnline」から転載しています。
メモリレコーダーの構造
メモリレコーダーは主に入力アナログ信号処理回路、A/D変換器、波形メモリ、制御回路、表示器および、プリンタで構成されている。
ここでは、よく使われるデスクトップ型メモリレコーダーと電池駆動型メモリレコーダーの内部構造について解説する。
デスクトップ型メモリレコーダーの構造
デスクトップ型メモリレコーダーは、コンパクトな本体に複数の入力モジュールが実装できるようになっている。本体には、大容量の波形メモリと波形を高速に表示する波形描画回路が搭載されている。
本体全体の制御は、CPUによって行われる。
本体には、プラグイン構造のさまざまな入力モジュールが実装できるようになっている。プラグインモジュールには、入力アナログ信号処理回路とA/D変換器が実装されている。絶縁型入力のモジュールは、内部で本体と絶縁できるようなっている。
ここでは、電圧アナログ入力モジュールの構造を示す。1つの電圧入力モジュールには、下記のような回路が2組もしくは4組実装されている。
熱電対で温度が計測できるモジュールは、入力に基準接点補償回路が付いており、熱電対からの出力電圧に0℃から室温までの熱起電力が加算されるようになっている。
ひずみゲージ(Strain gauges:ストレインゲージ)を利用する場合は、専用の入力モジュールを選択する。このモジュールはひずみブリッジに印加する電源を持っており、ひずみNDISコネクターを経由して、ひずみブリッジ回路に接続される。ひずみゲージモジュールには、下記のような2組の回路が実装されている。
入力モジュールには、上記以外に目的に応じてさまざまな製品が用意されているので、利用するセンサーに合わせて選択を行う。また、センサーによっては入力モジュールに直接接続ができない場合がある。そのときは、信号変換器を使ってセンサー信号を電圧信号に変化して、メモリレコーダーに入力する。下記に、トルクセンサーとメモリレコーダーの接続事例を示す。
電池駆動型メモリレコーダーの構造
電池駆動型メモリレコーダーの構造はデスクトップ型と基本的には同じであるが、屋外で使うことを想定して設計されているため、耐環境性への配慮、電池で長時間動かせる工夫、直射日光下や暗い場所でも見やすい画面、簡単な操作、小型/軽量でかつ頑強であることが設計に求められる。このため、電池駆動型メモリレコーダーは、基本機能を重視した製品が多い。
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