プログラマブル直流安定化電源の構造や便利な機能:プログラマブル直流安定化電源の基礎知識(2)(3/7 ページ)
直流電源はさまざまな分野で使われているため、多くの製品が市場にある。今回の解説では製品の開発や生産の現場で使われているプログラマブル直流安定化電源のうち、対象物にエネルギーを供給する試験用電源についての基礎知識を紹介していく。連載第2回の今回は、「構造」や「便利な機能」「負荷に接続する際の注意」などを紹介する。
直流電源の外部制御機能
直流電源は外部制御機能を持っているため、高度な使い方ができる。ここでは代表的な使い方を示す。
複数台の連結運転
直流電源は、同じ製品を複数組み合わせて並列運転や直列運転をすることができる。並列運転をすることによって大電流の出力が可能になり、直列運転をすることによって高電圧の出力が可能となる。なお、複数台の連結運転ができない製品もあるので注意が必要である。
並列運転はマスター機を1台決めて、残りはスレーブ機とする。マスター機とスレーブ機は同期できるように、取扱説明書に従った配線を行う。また、並列動作できる台数には上限がある。
直列運転は直流電源の出力端子を直列に接続する。ただし、接続できる台数には上限があるため、取扱説明書の記載を確認する必要がある。
外部接点による電源のオン/オフ制御
直流電源の前面パネルには、出力のオン/オフスイッチが付いている。手動操作以外に通信や接点信号で同じ操作をすることができる。このためPLC(Programmable Logic Controller)を使った制御システムに直流電源を組み込む場合などに外部接点信号が使われる。
なお、接点と本体を接続するケーブルは、ノイズ対策のためツイストペア線を用いることを勧める。
外部電圧による出力制御
0〜5Vもしくは0〜10Vの電圧信号によって、出力電圧もしくは出力電流を制御することができる。PLCや温度調節計を使ったシステムを組むときに便利な機能である。
外部電圧の入力形式は一般的に非絶縁であるが、一部の製品で絶縁入力がオプションで選べるようになっている。
通信制御
直流電源には通信インタフェースがあり、内部の設定を通信経由で指定できる。実装可能な通信インタフェースの種類は機種によって異なるので、あらかじめ確認する必要がある。下記には菊水電子工業のスイッチング方式直流電源が本体に搭載している通信インタフェースを示す。なお、GPIB↔RS232変換器またはGPIB↔USB変換器を用いると、全ての製品でGPIB通信が可能となる。
シリーズ名 | LAN | USB | RS232 | RS485 | GPIB |
---|---|---|---|---|---|
PWR-01 | ○ | ○ | ○ | ||
PAV | △ | ○ | ○ | ○ | |
PAT-T | △ | △ | ○ | △ | |
PWX | ○ | ○ | ○ | ||
PAG | ○ | ○ | △ | ||
表1:菊水電子工業のスイッチング方式直流電源の通信インタフェース(○:標準、△オプション) |
通信インタフェースを持たない電源の場合は、PCと電源の間に通信制御可能なアナログ電圧発生器を接続して、直流電源を制御することができる。
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