プログラマブル直流安定化電源の用途例や保守:プログラマブル直流安定化電源の基礎知識(3)(3/4 ページ)
直流電源はさまざまな分野で使われているため、多くの製品が市場にある。今回の解説では製品の開発や生産の現場で使われているプログラマブル直流安定化電源のうち、対象物にエネルギーを供給する試験用電源についての基礎知識を紹介していく。連載最終回となる今回は、「用途例」や「保守」について紹介する。
半導体のパワーサイクル試験
パワー半導体(MOS-FET、IGBTなど)は、オン時の自己発熱とオフ時の冷却という熱的なストレスが繰り返されると、チップとボンディングワイヤ間の破断、ヒートシンク部のはんだクラックなどが生じる。パワーサイクル試験は温度サイクルを繰り返して行い、パワー半導体の耐久性を調べる。
これを行うには、パワー半導体に電流を流す直流電源が必要になる。この試験は複数のパワー半導体を同時に行うので、スペース効率の良い薄型の直流電源が使われる。
LED素子のエージング試験
LED素子は内部が高温になるため、品質確保を目的に出荷前にエージングが行われる。
LED素子の順方向電圧は1.8〜3.7Vとなるため、大量のLEDを直列に接続した場合は印加電圧が高くなる。また、出力をオンした時に突入電流がオーバーシュートしないように、直流電源はCC優先モードに設定する。
アナログ回路の測定
アナログ回路を測定する場合は電源からの伝導ノイズが信号に混入することを嫌うため、評価の時に利用する電源は、スイッチング方式直流電源よりノイズの発生が少ないドロッパ方式直流電源が使われる。
例えば、オーディオ機器やセンサー回路の評価には、ドロッパ方式直流電源の利用が望ましい。
直流駆動の車載機器から生じる放射ノイズを試験する場合は、供給電源からの伝導ノイズの影響を最小限にする必要があるため、ドロッパ方式直流電源が使われる。
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