検索
特集

5G OTAテストのコンセプトと定義チップセット測定〜モバイルデバイス性能検証(3/3 ページ)

第5世代移動通信(5G)では、従来の移動体通信で使用されてきた周波数帯に加えミリ波が用いられることにより、チップセットの測定からモバイルデバイスの性能検証で、Over-The-Air(OTA)環境でのテストが必須となります。ここでは、5G OTAテストのセットアップに関して知っておくべきコンセプトを紹介します。

Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

クワイエットゾーン:電波暗室内のDUT周辺領域

 クワイエットゾーンとは、RFの伝搬が予測可能で不連続のない領域であり、精度と再現性のために重要です。RFパラメータテストや振幅、位相の高確度な測定が必要な場合には、特に重要となります。クワイエットゾーンには、デバイス全体かアンテナのみかにかかわらず、テスト対象の主要アイテムを含む十分な大きさが必要です。つまり、テスト対象のデバイスまたはアンテナのサイズにより、クワイエットゾーンのサイズ要件が決まります。もちろん、必要なクワイエットゾーンが大きくなると、必要な電波暗室のサイズも大きくなります(図5


図5

CATR:直接的遠方界(DFF)OTAテストに代わる方法

 コンパクト・アンテナ・テスト・レンジ(CATR)とは、間接的遠方界(IFF)によるOTAテストの方法です。CATRは曲面の反射鏡を使用して、物理的に近傍界を遠方界に変換します。実際のDUTのサイズ、開口部サイズ、周波数に依存しますが、レンジ長が短縮されてクワイエットゾーンが大きくなるため電波暗室のサイズを抑えられます。搬送波はパラボラ状の鏡で反射され、平面化されます。この球面波から平面波への変換により、ほとんど振幅と位相のリップルがない広大なクワイエットゾーンを得ることができます。またレンジ長の短縮もDUTとプローブ間の経路損失の抑制につながるため、測定ダイナミックレンジとS/N比が改善されます(図6


図6

まとめ

 5Gでは、ミリ波をOTA環境にてテストすることが主流な要求条件になってきていますが、民生用無線業界にとっては、まだ新しい測定課題です。その解決には、ミリ波やOTAテストのエキスパートと協力することが重要になります。


 5Gデバイスの課題ついての詳細は、こちらからご覧ください。また、最新の5Gソリューションについては、2019年11月27〜29日に開催される展示会「マイクロウェーブ展(MWE2019)」(会場:パシフィコ横浜)のキーサイトブース(小間番号:G-17)で展示します。

【著:Jessy Cavazos/Keysight Technologies, Inc. 5G Industry Solutions Marketing】

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページへ |       
ページトップに戻る