安易な設計が招いた焼損 ―― モータードライバーの修理【後編】:Wired, Weird(1/3 ページ)
前回に引き続き、ステッピングモータードライバーの修理の続きを報告する。1台目は、容易に修理することができたが、2台目については、大きな苦労が待ち受けていた……。
今回はステッピングモータードライバーの修理の続きを報告する。1台目は5Vの電解コンデンサーの劣化が見つかり電解コンデンサーを補強することで簡単に修理できた。しかし、2台目は様子がかなり違っていて、一次電源と二次電源をつなぐヒューズに相当する抵抗(図1の赤四角で示したところ)が焼損していた。
図1上側にある焼損していたチップ抵抗を赤四角で囲った。この抵抗の左側に4個のランドが見える。これはAC100Vの全波整流のダイオードブリッジで、チップ抵抗はダイオードブリッジの+端子に接続されていた。焼損した抵抗は値が不明だったが、先に修理を済ませた1台目の基板には6.8Ωの抵抗が実装されており、この値を修理代替に使い、焼損したチップ抵抗の代わりにディスクリートの1/4Wの6.8Ω抵抗を取り付けた。
2台目のステッピングモータードライバー基板の部品面を図2に示す。
基板の回路構成を簡単に説明する。上側が電源部、左側はモータードライブ部、右側は外部との接続部で、中央から下側がステッピングモーターの制御部だ。電源部は整流後にRCC電源でDC14Vを生成し、DC14VからDC-DCコンバーターで5Vを生成していた。下側に赤色のLEDが見えるが、これが通電表示灯だ。
代替抵抗で仮修理した基板にAC100Vを通電したら、電源表示のLEDがかなり明るく点灯した。少し明るすぎると思い、5Vの電圧を測定したらDC7Vを超えていた。『あぶない! 5Vの電圧が高すぎてICが壊れてしまう』と、すぐに電源を切った。DC14VからDC5Vを生成するDC-DCコンバーターの制御ICが動作していなかった。
交換跡があるDC-DCコンバーターが……
ハンダ面を確認したら実装されたDC-DCコンバーターICの交換跡があり、修理が行われていた。このICのリードをレンズで拡大して確認したらDC-DCコンバーターICの一部のピンが浮き上がり、ICのリードのハンダが溶けていた。やはりDC-DCコンバーターICは動作していなかった。
今までの確認結果でヒューズ代わりの抵抗が焼損に至った原因を推測してみた。まず、何らかの理由でDC5Vの負荷が重くなり、DC-DCコンバーターICが過熱して破損した。このため出力電圧が制御されず5Vの電圧が7Vに上がった。すると5Vの制御回路の消費電流が増加し、チップ抵抗が過熱して焼損したと推定された。
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