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デジタルオシロスコープの校正やプローブの概要デジタルオシロスコープの基礎知識(3)(6/9 ページ)

連載最終回となる今回は、オシロスコープに接続する「さまざまなプローブの概要や注意点」および、観測結果の信頼性を確保するための「校正」について解説する。

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低電圧差動プローブ

 車載ネットワークで使われているCANやPCにあるイーサネット、USB、HDMIで採用されているシリアル伝送線の通信信号は、コモンモードノイズの影響を受けないように差動信号で伝送される。このような信号を測定する場合は、広帯域な低電圧差動プローブを利用する。テクトロニクスの低電圧差動プローブは1G〜33GHz帯域までの製品がある。高速伝送路の評価は、時間ジッタや電圧ノイズをアイパターンによって評価するため、正確な波形観測が必要となる。

 低電圧プローブの非破壊最大入力電圧は低いため、高電圧入力や静電気によって破損することがあるので注意が必要である。

アクティブシングルエンドプローブ

 アクティブシングルエンドプローブの起源は古く、1950年代後半に真空管を使ったカソードフォロアープローブが作られていた。その後、真空管が半導体素子に置き換えられて小型化と広帯域化が進んだ。アクティブシングルエンドプローブはFETプローブといわれることがあるが、必ずしもFET素子が使われているわけではない。

 アクティブシングルエンドプローブは入力容量が小さいため、高い周波数の信号を観測するときに使われる。下図には、アクティブシングルエンドプローブと入力容量の異なる受動プローブの入力インピーダンスの周波数特性を示す。100kHz以上の周波数では、アクティブシングルエンドプローブが優位であることが分かる。


図13:テクトロニクスのアクティブシングルエンドプローブの入力インピーダンス周波数特性(クリックで拡大)

 テクトロニクスのアクティブシングルエンドプローブの仕様を下表に示すが、いずれも非破壊入力電圧が低いため、取り扱いを注意しないと破損する危険がある。特に静電気に注意が必要で、アクティブシングルエンドプローブを使うときは、帯電防止リストストラップを使用する。

型名 周波数帯域
(−3dB)
立ち上り時間 減衰比 動作電圧 非破壊入力電圧 オフセット電圧 入力容量 入力抵抗
P6243 1.0GHz 350ps 10:1 ±8V ±15V 1pF 1MΩ
P6245 1.5GHz*1 267ps 10:1 ±8V ±15V ±10V 1pF 1MΩ
TAP1500 1.5GHz 267ps 10:1 ±8V ±15V ±10V 1pF 1MΩ
TAP2500 2.5GHz 140ps 10:1 ±4V ±30V ±10V 0.8pF 40kΩ
TAP3500 3.5GHz 130ps 10:1 ±4V ±30V ±10V 0.8pF 40kΩ
表5:テクトロニクス社のアクティブシングルエンドプローブ *1)P6245型では代表値

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