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電力計の種類と選定ポイント電力計の基礎知識(1)(5/8 ページ)

電力を測るニーズの拡大にあわせて、さまざまなタイプの電力測定器が登場している。今回の記事では高性能、高機能が要求されるベンチトップ電力計に絞って基礎知識を解説していく。

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パワーエレクトロニクスの進化

 古くから電気鉄道の分野ではモーターを制御することが行われていた。現在では工作機械、家庭用のエアコンや洗濯機など、さまざまな分野でパワー半導体によるモーター制御が行われている。

 パワー半導体は1957年のサイリスタの発明から始まり、最近ではSiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)といった新しい半導体の普及が始まろうとしている。

 下図に、パワー半導体の長い歴史を示す。現在はパワーMOSFETやIGBTといった半導体がよく使われている。


図13:パワー半導体の歴史

 現在はパワーエレクトロニクスという言葉がよく使われるが、起源は1973年にウェスティングハウスのWilliam E.Newell博士が「パワー(電気/電力/電力機器)とエレクトロニクス(電子/回路/半導体)とコントロール(制御)を融合した学際的分野」をパワーエレクトロニクスと定義したことから始まっている。

 さまざまなパワー半導体は、用途に応じて使い分けられている。大きなものは電力設備であり、小さなものは身近にある家電製品である。今後、SiCやGaNといった新しいパワー半導体が普及していけば、制御装置の高効率化と小型化が同時に進むと期待されている。


図14:パワー半導体の種類と用途 出典:ICガイドブック2012年版(JEITA)

 パワーエレクトロニクス回路は、電力エネルギーを変換して使いやすくすることが役割となる。このことを電力変換といって、下記の4つに分類される。パワーエレクトロニクス装置はこれらの基本方式を単独もしくは組み合わせて使用している。


図15:電力変換の4つの基本方式

 一般に市販されているインバーター装置は、上図のコンバーターとインバーターを組み合わせたものを指すので注意が必要である。

 さまざまな分野で使われているインバーター装置は、電力会社が供給する固定電圧で周波数が50Hzもしくは60Hzの交流を一度直流に変換し、再び用途に応じた電圧と周波数の交流を作り出す仕組みになっている。インバーター装置内では電力変換が行われるため、損失が生じて熱となり空気中に放出される。損失を少なくすることがパワーエレクトロニクス機器の大きな開発目標となる。またインバーター装置内部ではスイッチング動作を行っているため、ノイズの発生がある。ノイズの発生を小さくすることも開発の目標になっている。


図16:インバーター装置の基本構成

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