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電源の電圧をマイコン内蔵A-Dコンバーターで測定する裏技Q&Aで学ぶマイコン講座(53)(4/5 ページ)

マイコンユーザーのさまざまな疑問に対し、マイコンメーカーのエンジニアがお答えしていく本連載。53回目は、中級者の方からよく質問される「電源の電圧をマイコン内蔵A-Dコンバーターで測定する裏技」についてです。

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VREFINTの無いマイコンの場合

 全てのマイコンが、STM32F4のVREFINTのような定電圧源を持っているわけではありません。定電圧源を持っていない場合には、マイコンの周辺回路に定電圧源を設ける、アナログ参照電圧以外で安定した電源の電圧を使用する、定電圧源を外付けする、といったことでVREFINTと同じような機能を実現できます。

1.メイン電源が安定していれば、メイン電源を利用する

 マイコンのメイン電源がアナログ回路用の電源端子とは独立していて、電圧も安定している場合は、マイコンの主電源を抵抗分圧して定電圧を作ることができます。

 図5に示した回路例では、VDDが安定していれば、(R2/(R1+R2))の比の定電圧Voutが得られます。


図5:メイン電源を使った定電圧回路 (クリックで拡大)

 図5(a)では直接メイン電源を分圧しています。この場合、分圧抵抗のR1+R2に常に直流電流が流れてしまい、消費電流が増えます。そこで、図5(b)のように、定電圧回路の電源を汎用IOのHigh出力から供給し、A-Dコンバーターを使用する時だけ汎用IOをONにすれば、必要最低限の電流増加に抑えることができます。ただしこの場合、R1+R2の抵抗を汎用IOに接続した時にどのくらいの電流が流れ、出力電圧VOHが何ボルトになるかを計算し、Voutが何ボルトになると安定するのか、といった汎用IOの出力特性を正確にチェックしてR1とR2を決める必要があります。正しく決めなければ、VOHが安定せずに定電圧源として使えません。

 さらに、R1とR2があまりにも大きい値の場合、A-Dコンバーターの変換速度に影響を与える可能性があるため、A-Dコンバーターの特性も細かくチェックする必要があります。具体的なチェック方法は、「Q&Aで学ぶマイコン講座(12):サンプル&ホールド型A-Dコンバーターのサンプリング時間はどうやって決めるの?」を参照してください。

【参考】

 図5の回路は、電池駆動の製品で電池の残量を調べるための回路として広く知られています。今回の前提条件とは異なり、参照電圧が安定していて既知の電圧値であれば、図5の回路においてA-Dコンバーターを使ってメイン電源の電圧値をチェックすることにより、電池の残量を知ることができます。

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