負の出力電圧を動的に調整する「ミッシングリンク」:電源設計のヒント(2/3 ページ)
負の出力電圧を生成する標準的な手法はいくつかあり、一方で出力電圧を動的に調整するよく知られた手法もあります。この技術記事では、シンプルなレベルシフト回路を使ってこの2つの手法をつなぎ合わせる「ミッシングリンク」について紹介します。
PWM信号を使用したVADJの生成
VADJを生成する簡単な方法の1つは、抵抗コンデンサーローパスフィルターを通るPWM(パルス幅変調)信号を供給することです。PWM信号は、マイコンやその他のデジタルチップが出力できます。PWM信号のデューティ比を調整することで、VADJを変化させます。ただし、この方法を使って反転昇降圧コンバーターの負出力電圧を動的に調整するのは、降圧コンバーターICのローカルグランドが、システムグランド(0V)ではなく負出力電圧(-VOUT)に等しいため、難しい作業になることがあります。恐らく、前述のIOピンへのインタフェース接続と同様に、レベルシフト回路も必要になるでしょう。図3をご覧ください。
図4に、このアプリケーションのレベルシフト回路の例を示します。この回路は、システムグランド(0V)を基準とするPWM信号を、ICのグランド(-VOUT)を基準とするPWM信号に変換します。
PWMソースは、PチャンネルMOSFETをオンまたはオフにします。PチャンネルMOSFETがオンになると、NチャンネルMOSFETゲートの電圧が閾値電圧を超え、NチャンネルMOSFETがオンになります。すると、VPWMは-VOUTにプルダウンされます。逆にPチャンネルMOSFETがオフになると、NチャネルMOSFETがオフになり、抵抗RPUによってVPWMはVBIASにプルアップされます。
VBIASは、「LM4040」(Texas Instruments製)のような高精度シャントレギュレーターを使って生成できますが、このレギュレーターは、-VOUTおよび、抵抗を介してVINに接続されます。図3に示されるように、RFLTとCFLTはローパスフィルターとして機能し、VADJを生成します。そして、RADJを流れる電流が、出力電圧を調整することになります。
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