マイコン内蔵フラッシュメモリの書き込み&消去動作:Q&Aで学ぶマイコン講座(55)(1/3 ページ)
マイコンユーザーのさまざまな疑問に対し、マイコンメーカーのエンジニアがお答えしていく本連載。55回目は、初級者の方からよく質問される「マイコンに内蔵されたフラッシュメモリの書き込み&消去動作」についてです。
素朴な疑問から技術トラブルなどマイコンユーザーのあらゆる悩みに対し、マイコンメーカーのエンジニアが回答していく連載「Q&Aで学ぶマイコン講座」。
今回は、初級者から多く寄せられる質問です。
マイコンに内蔵されているフラッシュメモリの内部では、書き込みや消去の際にどのような動作が行われているのですか? フラッシュメモリの書き込みや消去中に電源が遮断された場合、メモリ内部はどのような状態になるのですか?
フラッシュメモリは、各メモリセル内に「フローティングゲート」を持っており、そこに電子を保持することでメモリセルの閾値を変え、プログラムやデータを記憶します。*1)
プログラムやデータを書き込む際はフローティングゲートに電子を注入し、消去する際は電子を抜き取ります。
電子の注入と抜き取りの条件や方法は各マイコンで異なる上、各メーカーのノウハウや特許に関わる情報となるため、本記事では一般的な方法を説明します。
フローティングゲートに電子を注入する際は、1回で決められた量の電子全てを注入するわけではありません。少しずつ数回に分けて注入し、閾値の変化をチェックしながら行います。閾値が規定値まで変化したら電子の注入を中止し、そのセルの書き込みを終えて次のセルに移ります。(図1参照。この例では1回で書き込む量は注入完了時のn%)
また、「消去や書き込み中に電源が遮断された場合、メモリ内部はどのような状態になるのですか?」という質問も多く寄せられますが、これについては図1に示す書き込みフローのどこで電源が遮断されるかによって異なります。多くの場合は注入を繰り返している途中で遮断され、電子の注入が中途半端な状態になるため、再度最初から書き込むことをお勧めします。
参考ページ:*1)Q&Aで学ぶマイコン講座(37):メモリの種類と特長
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