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FFTアナライザーの測定事例と校正FFTアナライザーの基礎知識(3)(3/5 ページ)

低周波信号の周波数成分を観測するFFTアナライザーについて解説する連載第3回。最終回となる今回は、「FFTアナライザーの測定事例」「FFTアナライザーの校正」について説明する。

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ファン騒音の周波数特性

 ファンはビルやプラントの送排気設備としてだけでなく、浴室乾燥機やPCの熱排気などに多く使われている。ファンが設置される環境によって許容される騒音レベルが異なっている。

 ファンから発生する騒音をオクターブ分析やFFT分析するには、下図のような測定環境を無響室に構築する。ファンの騒音には羽根数×回転速度およびその高調波成分にピークを持つ回転音があるため、FFT分析は必要である。


図4:ファンからの騒音測定

OA機器の騒音分析

 複写機やプリンタなどのOA機器は静かな室内環境に置かれるため、騒音低減への要求は大きい。最近はOA機器からの動作音を低減するだけではなく、不快な騒音を発生させない工夫が求められている。

 複写機やプリンタは動作時に複雑な動きをするので、発生する音は時間とともに変化する。そのため、FFTアナライザーには時間軸と周波数軸で分析ができることが要求される。

 OA機器の騒音測定は、目的に応じて無響室や半響室で行われる。


図5:OA機器の騒音分析

無響室、半無響室、残響室

 音の測定では、測定環境によって結果が異なることがある。このため、目的にあった測定環境での評価が必要となる。

・無響室
 音の反射をほとんどなくし、室内での音の反響を無視できるほど小さく設計した部屋のことである。そのため、床面も含めた全面が吸音材料で覆われている。工業製品や家電製品の動作音測定や音響機器開発などに用いられる。

・半無響室
 床面は反射性の材料、それ以外の面を吸音材料で覆っている。床面が固く丈夫であるため自動車など重い機器でも測定ができる。

・残響室
 壁面などの音の吸収をコンクリートなど固い材料によって抑え、長い残響が生じるようになっている。残響室は、建築物の内装用素材などの吸収係数や2つの残響室を開口部でつないで防音物の遮音特性の測定に使われる。


図6:無響室、半無響室、残響室(小野測器の音響棟)

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