UPSや瞬低補償装置向けのバッテリーモジュール:村田製作所 MH1701
村田製作所は、リチウムイオン二次電池「FORTELION」を搭載した高出力バッテリーモジュール「MH1701」を発表した。長期間、安定して使用できるため、無停電電源装置や瞬時電圧低下補償装置など高出力の産業機器に適している。
村田製作所は2020年8月、同社のリチウムイオン二次電池「FORTELION(フォルテリオン)」を搭載した高出力バッテリーモジュール「MH1701」を発表した。同月から量産を開始する。
MH1701に搭載したFORTELIONは、正極材に、安定した結晶構造を持つオリビン型リン酸鉄リチウムを採用している。そのため、衝撃や圧力による発火が起こりにくく、高負荷時も安定した電池性能を発揮する。
なお、FORTELIONは、日本の非常用電源装置の安全基準である「消防認定」を取得済みだ。アメリカの蓄電池の火災リスクに対する国際安全基準「UL9540A」に基づいた試験レポートも取得し、国際的にも安全性が認められている。同社は、FORTELIONの特長と高い入出力特性を生かすモジュールとして、MH1701を開発したとしている。
最大200Aでの連続放電が可能
MH1701の充放電サイクルは1万5000回と長期間使用可能で、LCC(ライフサイクルコスト)を低減する。また、蓄電池モジュールの構造と回路設計の最適化により、SOC(State Of Charge)100%から0%まで200Aの連続放電(6C相当)が可能だ。連続充電は最大100A(3C相当)となっている。
定格容量は1.75kWh、公称電圧は51.2V、動作環境温度範囲は−20〜+50℃。大きさは435×570×80mmと、サーバなどで使用する19インチラックに適合する。重量は26kgだ。
電池寿命が長く、省スペースと軽量化を図れるリチウムイオン二次電池を採用したことで、これまでUPS(無停電電源装置)や瞬時電圧低下補償装置に用いられてきた鉛蓄電池を同モジュールに置き換えられる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ASIL-D対応の6軸3D MEMS慣性力センサー
村田製作所は、ASIL-Dに対応した6軸3D MEMS慣性力センサー「SCHA600」シリーズを発表した。衛星測位システム単独では測位が難しい、トンネル内などの車両位置も誤差数十cmレベルで検知するため、ADASや自動運転用途に適している。 - 高耐圧大電流スナバ回路向け金属端子タイプMLCC
村田製作所は、金属端子タイプの温度補償用積層セラミックコンデンサーとして、自動車用「KCM」シリーズと、一般用「KRM」シリーズの量産を発表した。車載、産業機器用IGBTのスナバ回路への適用を見込む。 - 静電容量0.1μFの積層セラミックコンデンサー
村田製作所は、0.25×0.125mm(0201Mサイズ)と小型ながら、静電容量0.1μFを可能にした、積層セラミックコンデンサー「GRM011R60J104M」を発表した。 - 使用温度範囲−55〜+150℃の車載Ethernet向けCMCC
村田製作所は、−55〜+150℃の温度範囲で動作が可能な、車載Ethernet向けのコモンモードチョークコイル「DLW32MH201YK2」を製品化した。温度変化によるストレスを吸収する金属端子を採用している。 - CAN FD Class3対応のコモンモードチョークコイル
村田製作所は、次世代車載ネットワーク規格CAN FD対応の巻線コモンモードチョークコイル「DLW32SH101XF2」を発表した。IEC62228-3でCAN FD用CMCCに求められる、DCMR Class3に適合している。 - 5GHz帯ノイズ対策に特化したノイズフィルター
村田製作所は、5GHz帯のノイズ対策に特化した小型ノイズフィルター「BLF03VK」シリーズを発表した。Wi-Fi通信時に干渉する5GHz帯のノイズを除去し、データの処理能力や転送速度を向上する。