セラミックキャパシター(4) ―― 温度特性:中堅技術者に贈る電子部品“徹底”活用講座(48)(2/4 ページ)
セラミックキャパシターの温度特性について説明をしていきます。なお、今回、取り上げる温度特性はIEC規格クラス1やその日本版であるJIS規格のクラス1です。
JIS規格による種類1キャパシターの表記方法
現在では種類1のセラミックキャパシターの容量の温度特性は、EIA表記方法に代わって「NP0」「N220」などのように温度特性(α)を含むIECの表記方法で表されています(JIS-C-5101-8:2018)。
表5に同規格のキャパシターの温度特性と温度特性偏差(JIS表2)の抜粋を示します。このαの偏差はいくつかの級(サブクラス)に分かれ、それぞれに分類記号が付与されています。
実際の運用としては温度係数αの文字コードとその偏差(バラツキ)の文字コードの組み合わせとして運用されています。一方、EIAコードはαの仮数部+乗数部+偏差の3文字コードで運用されていますので混用することはないでしょう。
クラス1 セラミックキャパシター | ||||||
IEC誘電体名 | 温度特性α 10-6/K |
αの偏差の例 10-6/K |
サブクラス の例 |
文字コード | (参考) EIA相当品 |
|
P100 | 100(A) | ±30(G) | 1B | AG | M7G | |
NP0 | 0(C) | ±30(G) | 1B | CG | C0G | |
N33 | −33(H) | ±30(G) | 1B | HG | S1G | |
N75 | −75(L) | ±30(G) | 1B | LG | U1G | |
N150 | −150(P) | ±60(H) | 1B | PH | P2H | |
N220 | −220(R) | ±60(H) | 1B | RH | R2H | |
N330 | −330(S) | ±60(H) | 1B | SH | S2H | |
N470 | −470(T) | ±60(H) | 1B | TH | T2H | |
N750 | −750(U) | ±120(J) | 1B | UJ | U2J | |
N1000 | −1000(Q) | ±250(K) | 1F | QK | M3K | |
N1500 | −1500(V) | ±250(K) | 1F | VK | P3K | |
N2200 | -2200*(K) | ±500(L) | 1F | KL | R3L | |
N3300 | -3300*(D) | ±500(L) | 1F | DL | S3L | |
N4700 | -4700*(E) | ±1000(M) | 1F | EM | T3M | |
N5600 | -5600*(F) | ±1000(M) | 1F | FM | V3M | |
ーーーー | +140〜ー1000 | ーーーー | 1C | SL | ーーーー | |
*JIS拡張範囲 着色部はJIS推奨温度係数 その他のα偏差記号 F:±15 |
上記の表記方法に従えば0±30×10-6/Kの特性はJIS(IEC)の表記法ではCGであり、EIA表記法のC0Gと非常に類似していますがJISの文字コードのほとんどはEIAのコードと異なりますのでコードの相互換算には注意が必要です。
表2の中で注目すべきはα=0±30(10-6/K)のNP0/CG/C0Gキャパシターです。このランクの容量変動dC/Cは温度範囲-55〜+125℃で±0.54%(±30×10-6×180)ですから温度変動は事実上無視でき、広い温度範囲で正確な周波数特性を得ることが可能になります。
また、その他のランクの正から負に亘る各種の温度特性は発振回路のインダクタンスや半導体の温度変動をキャンセルして安定した周波数特性を得るために使われることが多くなります。
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