ユニバーサルカウンターの利用事例や校正:ユニバーサルカウンターの基礎知識(3)(4/4 ページ)
ユニバーサルカウンターについて解説する第3回。最終回となる今回は、「ユニバーサルカウンターの利用事例」「ユニバーサルカウンターの校正」について説明する。
ユニバーサルカウンターの校正
ユニバーサルカウンターの精度を維持するためには、定期的な校正が必要となる。周波数の基準としてユニバーサルカウンターに内蔵されている水晶発振器の周波数校正と、その他のアナログ回路の経年変化を測定器メーカーが定めた校正手順で行い、トレーサビリティーを確保する。
電波法における較正
電波法では、無線設備の点検に使う「周波数計、スペクトル分析器、電界強度測定器、高周波電力計、電圧電流計、標準信号発生器」は法律に従った較正(校正+調整)を行うことが要求されている。実際の運用では、周波数計に内蔵されたクロック発振器が周波数調整できるものであれば校正用標準器を使って再調整されるが、クロック発振器の周波数調整ができない製品では、製品仕様を満たしていることのみを確認している。
ユニバーサルカウンターは周波数計に該当するため、無線設備の点検に利用する場合は電波法に従った較正を定期的に行うことが必要となる。
遠隔校正
ユニバーサルカウンターの校正作業に使われる信号発生器の周波数は、国家標準にトレーサブルであることが求められる。過去には校正事業者や企業内の標準器室にある周波数標準器を校正機関に持ち込んでいたが、現在ではGSP衛星を用いて国家標準と遠隔校正ができる仕組みがある。これを用いると、校正事業者や企業内の標準器室にある周波数標準器を移動させずにトレーサビリティーを確立できる。
ただし、遠隔校正は持ち込み校正に比べて校正の不確かさが若干劣るため、必要な精度が高い場合は持ち込み校正が必要となる。
種類 | 校正の形態 | 校正範囲 | 校正・測定能力(k=2) | ||
---|---|---|---|---|---|
周波数 | 持ち込み校正 | 1、5、10、100MHz | 周波数測定法 | 2×10-13 | |
5、10MHz | 時間間隔測定法 | 1×10-13 | |||
遠隔校正 | 5、10MHz | シングルチャンネル GPS受信機の場合 |
基線長50km | 1.7×10-13 | |
基線長500km | 2.4×10-13 | ||||
基線長1600km | 9.3×10-13 | ||||
マルチチャンネル GPS受信機の場合 |
基線長50km | 1.1×10-13 | |||
基線長500km | 1.4×10-13 | ||||
基線長1600km | 4.9×10-13 | ||||
表1:持込校正と遠隔校正の違い 出典:周波数標準の校正法とその不確かさ(産総研計量標準報告 Vol. 5, No. 4 2007年1月) |
おわりに
デジタルオシロスコープなど最近の測定器は水晶発振器が搭載されているため、カウンターを用いなくても精度の高い周波数などができるようになった。このためユニバーサルカウンターの利用は減少したが、時間はほかの測定パラメータより桁数が多く正確な測定が行えるため、まだ多くの分野で使われている。
今回の解説がユニバーサルカウンターの利用拡大につながることを期待するとともに、ユニバーサルカウンターを利用される方の一助となることを期待する。
転載元「TechEyesOnline」紹介
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