ちょっと珍しいトランスで帰還したRCC電源の修理【後編】:Wired, Weird(1/2 ページ)
前回に引き続き、電圧の帰還をトランスで行っている初期型のRCC方式(自励式フライバックコンバーター)電源の修理について報告する。今回は、前回判明した抵抗の断線についてその原因を探りつつ、その後の修理経過を報告しよう。
前回に引き続き、電圧の帰還をトランスで行っている初期型のRCC方式(自励式フライバックコンバーター)電源の修理について報告する。
前回の調査で電源基板の不良部品がようやく見つかった。最初に外観を確認したときに、電解コンデンサーの液漏れを確認したが、基板からは電解液の臭いがほとんどしなかった。そのため、抵抗が断線していることは予想していなかった。
今回は、抵抗が断線した原因とその後の修理経過を報告する。まずは、故障した抵抗を外す途中の写真を図1に示す。
抵抗のリードにハンダごてを当ててハンダを溶かし、ピンセットでリードを引っ張ったが、図1のように抵抗は外れなかった。基板に接着されているようだ。しかしこの時、“あの嫌な臭い”がした。そう、電解液の4級アンモニウム塩の臭いだった。基板と抵抗の間に小さなマイナスドライバーを差し込み押し上げたら抵抗が取れたが、抵抗のボディの一部が破損して、紙エポの基板に接着していた。図1で抵抗が破損して、抵抗の下の基板の表面が少しくぼんでいるのが見えるだろう。
この抵抗の内部に電解液が浸み込んで抵抗が断線し、抵抗の表面が溶けて基板に接着してしまっていたようだ。抵抗を基板から取り外した写真を図2に示す。
図2のように抵抗R59の下の基板に2つくぼみがあった。ここに抵抗が接着されていた。抵抗のすぐ下に実装されていた電解コンデンサーの下側とリードも変色していた。この電解コンデンサーから電解液が漏れ、抵抗R59を腐食させたと思われたので、電解コンデンサーも取り外した。抵抗R59と電解コンデンサーを交換した写真を図3に示す。
図3で交換した抵抗とコンデンサーを赤四角で囲った。基板の上側に置いた部品は取り外した部品だ。抵抗は保護膜が剥がれ抵抗の巻き線が見えていた。抵抗の内部にも電解液が入り込み抵抗が断線していた。最初に基板の部品を見たときには全く液漏れしているようには見えなかった。古い電源基板なので、電解コンデンサーの液漏れをもっと疑うべきだった。電解液の液漏れを見つけるのは簡単で、ハンダごてを電解コンデンサーのマイナス端子に当てて加熱すれば、特有の臭いが出るので液漏れがすぐに分かる。最初から試してみるべきだった――。
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