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ちょっと珍しいトランスで帰還したRCC電源の修理【後編】Wired, Weird(2/2 ページ)

前回に引き続き、電圧の帰還をトランスで行っている初期型のRCC方式(自励式フライバックコンバーター)電源の修理について報告する。今回は、前回判明した抵抗の断線についてその原因を探りつつ、その後の修理経過を報告しよう。

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部品を交換するも、出力電圧は低いまま……

 さて、故障部品を交換したので、基板にAC100Vの電源を接続してボリュームを回して動作を確認してみると、出力電圧が変化した。やはり抵抗R59の断線が不良の原因だったようだ。次に電源の負荷試験として5Vに10Ω程度の負荷をかけてみると、電圧が0.5V程度低下してしまった。オシロスコープで出力電圧波形を確認すると0.5V程度のリップルがあった。2次側の電解コンデンサーも劣化している可能性が高い。2次側の電解コンデンサーを取り外すと、やはり液漏れが確認された。図4に示す。


図4:液漏れしていた2次側の電解コンデンサー部。外した電解コンデンサーは、逆さにして実装位置のすぐ左横に置いた

 図4では、外した電解コンデンサーのリードを上側にして、実装位置のすぐ左横に置いてみた。電解コンデンサーのマイナス端子のリード周辺が白く変色し、基板のマイナス端子の周辺に液漏れした茶色の電解液が見えるだろう。

 液漏れがあった電解コンデンサーを交換し、AC100Vを通電して無負荷時と4.7Ω負荷時での出力電圧を確認した。無負荷では5.26V、有負荷では4.75Vでようやく5V±5%の範囲に近づいた。しかし無負荷時での5V電圧が少し高い。

無負荷時の電圧が少し高いので……

 通常、RCC電源は無負荷時の出力電圧が上がってしまうために、数百オームのダミー負荷を入れて対策する。しかし、この基板の5V出力にはダミー負荷は実装されていなかった。手持ちの部品に1W150Ωの抵抗があったので、これを基板に追加して出力電圧を確認した。図5に示す。


図5:ダミー負荷として150Ωの抵抗を追加した基板

 図5中、赤四角で示したように、5V電源に穴加工して150Ωの抵抗を追加し、無負荷状態で電圧を測定した。その結果、出力電圧が約0.1V低下し5.15Vになった。最大負荷の1Aでは出力電圧は4.8V程度だった。12Vの電源出力では0.5A負荷で11.8Vが確認された。5Vと12Vの電源出力がかなり改善された。この出力電圧であれば客先も納得するだろう。これで修理完了だ。

 今回はかなり古いRCC電源の修理を経験した。インターネット上では情報が得られず、客先からも正確な不具合情報が得られない機器の修理が、いかに困難な仕事であるかを痛感した。しかし、トランスで出力電圧を帰還する珍しいアナログ設計の電源に出会えた。修理が終わった後で、電源の回路図のメモを作成しておいた。この珍しい電源の動作の理解を深めることができたことは、かなり大きな収穫だった。

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