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「O-RAN」の相互運用性がもたらすテストの課題キーサイトが解説(1/2 ページ)

Open RANは、モバイルネットワーク事業者に大きな可能性をもたらします。ただし、そのオープン性はテスト面で新たな課題を生んでいます。

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 5G(第5世代移動通信)はオープン無線アクセスネットワーク(Open RAN)への移行を推進する重要な原動力です。5Gでは、ネットワークの高密度化が飛躍的に進むため、モバイル事業者は、スタンダードベースのネットワークを採用して、リソースの使用率を向上する必要があります。既存のネットワークインフラと従来のフロントホール技術では、5Gに伴う需要と帯域幅の増加に対応できません。モバイルネットワーク事業者は5Gに向けて進化するためにOpen RANを必要としています。

 これと並行して、仮想化やソフトウェア定義ネットワーク(SDN)のような革新的な技術も成熟してきており、これらの技術は、無線アクセスネットワークに統合できるようになっています。Open RANを利用することで、モバイルネットワーク事業者はネットワークのパフォーマンスを最大化し、設備投資と運営コスト(CAPEX/OPEX)を最適化できます。例えば、楽天モバイルでは、Open RANへの移行により、設備投資を30%、運営コストを28%削減できると見込んでいます*)

*)Mobile World Live webinar “Why Open RAN Makes Sense: Facts from Real-World Experience”, March 11, 2021.

 Open RANは、モバイルネットワーク事業者に大きな可能性をもたらします。オープンネットワークは、新規参入者を受け入れることでイノベーションを促進します。また、Open RANは標準規格に準拠しているため、異なるベンダーの機器間でも相互運用が可能です。

Open RANのパラダイム

 Open RANは、ネットワーク構築の柔軟性を高めると同時に、モバイルネットワーク事業者にとってパラダイムシフトとなります。

 これまで基地局は、1つのネットワークベンダーから提供された単一の存在であり、ユニットとしてテストされていました。Open RANでは、基地局が異なるベンダーの異なるコンポーネントで構成されています。サブコンポーネントでさえ、他のサプライヤーから提供されることもあります。本稿では、Open RANの中でも、2018年2月に結成した事業者主導のアライアンス「O-RAN Alliance」によるOpen RANの技術(以下、O-RAN)について述べていきます。

 O-RANネットワークには、主に次のようなコンポーネントが含まれています。

  • 中央ユニット(O-CU):ネットワークとユーザーの機器間のプロトコルのPDCP(Packet Data Convergence Protocol)層を処理する
  • 分散ユニット(O-DU):メディアアクセス層(MAC)、無線リンク層(RLC)および高物理(H-PHY)層を処理する
  • 無線ユニット(O-RU):高速フーリエ変換(FFT)、一部のビームフォーミング、プレコーティングを実行する
  • RANインテリジェントコントローラー(RIC):1)O-DU、O-CUおよびO-RUからの情報を収集し、解析を実行し、マシンラーニング(ML)などの人工知能(AI)技術を使ってネットワーク構成要素への提案を生成して最適化を図る非リアルタイムRIC、2)ネットワーク構成要素にコマンドをプッシュする、ほぼリアルタイムのRIC

図1:O-RANネットワークにはさまざまなコンポーネントが含まれる

 モバイルネットワーク事業者は、これらの要素をまとめて、いろいろなベンダーから調達したコンポーネントが、相互にシームレスに動作することを保証する必要があります。仕様は詳細に整えられていますが、解釈の余地があり、課題も生じています。

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