検索
連載

トルクが足りないモータードライバーの修理Wired, Weird(3/3 ページ)

取引先から紹介された会社からモータードライバーの修理を依頼された。不具合の症状は『高速回転は問題なく動作するが、低速回転で逆回転する。低速の正常回転数 0.66に対し現在は0.05』と非常に具体的だった。この症状からするとモーターのトルクが足りてないようだ。依頼者は現場で活躍している人なので、何とか依頼に応えたいと思い修理を引き受けた。

Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

自信を持って納品したけれど……

 納品後、依頼者から「正常に動作し逆回転はなくなったが、もう少し遅い回転での動作も後日、確認する」と連絡があった。コンデンサー補強の効果はあったようだ。

 しかし後日、依頼者から電話があり違う不具合が発生したという。症状は「AC200Vを通電するとドライバーの電源を供給しているブレーカーが落ちる」ということだった。過電流が発生しているようだ。これはあぶない。急ぎでドライバーを再送してもらった。

 現品を受領し、ドライバーに通電したがパネルの表示灯が点灯しない。電源が壊れている可能性がある。電源基板不良と思われるが、電源基板単体では5V、12V、15Vの出力はそれぞれ正常だ。電源を供給しているCPU基板の不良が考えられるので追加した9個のコンデンサーの抵抗を測定した。その結果、1個のコンデンサーの抵抗が0Ωになっていた。図6に示す。


図6:補強したコンデンサーの抵抗を確認した[クリックで拡大]

 図6左で3番目のコンデンサーが0Ωだった。このコンデンサーが電源を短絡して、出力が出なくなっていた。図6右はコンデンサーを測定した結果だ。左から3番目の×印を付けたコンデンサーの抵抗が0Ωだった。このコンデンサーはこれまで数百個を購入して修理で使っているのだが、初めて不良品に遭遇した。不良のコンデンサーを交換して再通電した。図7に示す。


図7:不良のセラミックコンデンサーを交換し動作を確認した[クリックで拡大]

 図7でパネルの表示は正常に点灯した。即日、修理品を依頼者へ発送し、現場で確認してもらったところ、正常に立ち上がったと連絡があった。

迷惑をかけたが良い経験に

 今回の修理を通して、2つのことが分かった。1つはモーター駆動のドライバーの電圧は少し高めにしてESRが低いコンデンサーを使用するとよいということ。もう1つはセラミックコンデンサーが短絡破損することがあるということだ。

 依頼者には迷惑をかけたが良い経験になった。

⇒次の記事を読む

⇒「Wired, Weird」連載バックナンバー一覧

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページへ |       
ページトップに戻る