「電圧軸」「時間軸」「トリガー」の基本的な設定:初めて使うオシロスコープ(2)(2/4 ページ)
本連載は初めてオシロスコープを使う人を対象にその基本的な使い方や使用上の注意点を解説していく。今回は、「電圧軸」「時間軸」「トリガー」の基本的な設定について説明する。
入力感度の設定
オシロスコープでは、大きな電圧の信号から小さな電圧の信号までの波形を観測するため、入力に減衰器と増幅器がある。TBS2000Bの仕様にはプローブが1:1の場合は1m〜10V/divまで感度を変えられる。TBS200Bの画面は垂直方向に10div、水平方向に15divに区切られているので、フル振幅で換算すると10m〜100Vまでとなる。標準添付の電圧プローブは10:1であるので、感度は10m〜100V/divまでとなる。
入力感度はパネルの矢印のついたロータリーノブを使って設定する。その際は、スケール(Scale)ダイヤルを回して感度設定を行う。最初に感度設定を行う際はパネル上部にある回転ダイヤルの横にある、微調整(Fine)キーが消灯していることを確認する必要がある。感度を細かく設定したい場合は、微調整(Fine)キーを押して点灯した状態にする。
波形の位置を上下に動かしたいときは、スケール(Scale)ダイヤルの上にある位置(Position)ダイヤルを使って移動させられる。
オシロスコープで測れる最大電圧
TBS2000Bのカタログには最大入力電圧という仕様項目があり、「300VRMS、インストレーション・カテゴリーII、ピーク電圧:±450V以下」と示されている。これは、オシロスコープの入力端子への印加電圧の最大値のことである。オシロスコープで波形観測する場合は、電圧プローブを使うのでプローブの仕様を確認する必要がある。TBS2000Bに標準添付されているTPP0100(100MHz)やTPP0200(200MHz)の仕様では、最大入力電圧が300VRMSと規定されている。
注意が必要なのは、電圧プローブに印加できる最大入力電圧は周波数に依存することである。TPP0100やTPP0200の取り扱い説明書には下記のような図が掲載されている。
安全に波形観測をするためには、3MHz以上の周波数の信号をプローブに印加する場合は耐電圧が低下することを知っておく必要がある。
【ミニ解説】オシロスコープで受動電圧プローブを使う効果
オシロスコープを利用して電圧波形を測定する場合、オシロスコープのBNC端子からケーブルを延長して測定対象に接続することはあまりない。多くは10:1プローブを使って測定する。
テクトロニクスには、減衰率を1:1と10:1の切り替えができる受動電圧プローブがある。切り替えはプローブ上部のスイッチによって行う。
減衰率10:1にすると、入力抵抗はオシロスコープの1MΩにプローブ内部の9MΩが直列に接続され10MΩとなる仕組みになっている。また、位相調整が行えるようになり周波数帯域は200MHzまでとなる。電圧感度は低下するが入力抵抗が大きくなり、測定対象に与える影響は減少する。
一方、1:1に設定した場合はオシロスコープのBNCコネクターからケーブルで延長したのと同じになるため、入力抵抗は1MΩ、入力容量はケーブルの容量が加算されるため110pFとなる。このため周波数帯域は6MHzとなる。広い周波数帯域が必要でなく、入力感度を上げたいときのみ、1:1の設定にする。
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