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「電圧軸」「時間軸」「トリガー」の基本的な設定初めて使うオシロスコープ(2)(3/4 ページ)

本連載は初めてオシロスコープを使う人を対象にその基本的な使い方や使用上の注意点を解説していく。今回は、「電圧軸」「時間軸」「トリガー」の基本的な設定について説明する。

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A/D変換器による波形の捕捉

 デジタルオシロスコープは、サンプリングクロックごとにA/D変換器によって波形の電圧値を読み取り、波形メモリにデータを保存していく仕組みになっている。A/D変換器にはビット分解能があり、8ビットで256段階、12ビットで4096段階、16ビットで65536段階に縦軸が分割される。ビット分解能が高いほど実際の波形を忠実にデータ化することができる。横軸はサンプリングクロックの周波数によって細かさが決まる。サンプリングクロック周波数が100MHz(=100Mサンプル/秒)の場合は10ナノ秒(ns)(=光が約3m進む時間)ごとにデータをサンプルすることになる。


図10:A/D変換器による波形の捕捉

 オシロスコープTBS2000Bの画面の電圧軸は10分割され、時間軸は15分割されグリッド線が表示されるようになっている。グリッド線の間隔をdivと表現される。

 TBS2000Bでは1n〜100s/div(1-2-4シーケンス)で設定できるようになっている。TBS2000Bでは最大5M(500万)ポイントの波形データメモリを設定できるため、最大1つのdivあたり約36万点のデータを持つことができる。

波形取り込みの設定

 TBS2000Bの波形取り込みの設定をするには、下図のキーを押して画面に設定項目を表示させる。


図11:波形取り込み設定画面の呼び出し

 波形取り込みの設定画面は下図のようになり、設定項目はいくつかある。ここではモード(Mode)、レコード長(Record Length)、波形表示(Waveform Display)の設定について述べる。

 通常、モードはサンプル(Sample)にしておく。ノイズなどサンプリング間隔の間に生じる細いパルスを補足したいときはピーク検出(Peak Detect)を使う。サンプリング間隔の間で複数回サンプリングを行い、演算によって分解能を上げる高分解能(Hi res)がある。ノイズを取り除くため設定した回数の波形データを平均化して表示する平均(Average)がある。


図12:アクイジッションモードの設定画面 [クリックで拡大]

 レコード長(Record Length)は、A/D変換器によってデータ化された波形情報を保存するメモリの容量を設定する画面である。オシロスコープの画面を見るだけの作業であれば、2000の設定で十分である。取り込んだ波形を時間軸方向に拡大して波形観測をしたいときは、波形メモリを大きくしなければならない。


図13:レコード長の設定 [クリックで拡大]

 アナログオシロスコープでは、電子ビームを蛍光体に照射して残像効果で波形にする仕組みであった。このため、突発的に発生する波形は残像効果によって人が観測することができた。同じような機能をデジタルオシロスコープで実現できるよう、残像時間を設定できる機能として表示時間(Persist Time)の設定がある。通常は波形表示(Waveform Display)にあるパーシスタンス(Persistence)をオフにして使うが、発生頻度の少ない突発現象を観測したいときは長い残像時間を設定して波形観測を行う。


図14:画面表示(パーシスタンス)の設定 [クリックで拡大]

時間軸の設定

 TBS2000Bでは、1n〜100s/div(1-2-4シーケンス)で時間軸を設定できる。時間軸を設定するには、パネルにある下図に示すダイヤルを回す。設定された時間軸の情報は画面の下に表示される。


図15:時間軸の設定と設定情報の表示

 観測したい波形に含まれる最高周波数成分の2.5倍のサンプルレートが必要となるため、低い周波数の信号に高い周波数成分のノイズが重畳したような信号を測定したい場合などは、サンプルレートの値を確認する必要がある。もしサンプルレートが低い場合は、レコード長を長く設定してサンプルレートを上げるようにする。

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