「電圧軸」「時間軸」「トリガー」の基本的な設定:初めて使うオシロスコープ(2)(4/4 ページ)
本連載は初めてオシロスコープを使う人を対象にその基本的な使い方や使用上の注意点を解説していく。今回は、「電圧軸」「時間軸」「トリガー」の基本的な設定について説明する。
トリガーの機能
初期のアナログオシロスコープにはトリガー機能なく、時間軸を決める発振器の周波数を調整して画面に固定した波形の表示をしていた。テクトロニクスが1947年に発表した10MHz帯域のアナログオシロスコープ511型にトリガー機能が搭載された。これにより、波形観測の開始点をトリガーによって設定することができるようになった。現在では全てのオシロスコープにトリガー機能が搭載されている。
現在販売されているデジタルオシロスコープには利用目的に応じた多彩なトリガー機能が用意されているが、ここでは最も使われるエッジトリガーの設定方法についてのみ説明する。
トリガーの設定
TBS2000Bのトリガーの設定を行うには、パネルにある下記のキーを押してトリガー設定画面を呼び出す。
TBS2000Bのトリガー設定画面は下図のようになり、トリガータイプ(Trigger Type)、ソース(Source)、結合(Coupling)、スロープ(Slope)、レベル(Level)の設定を行うようになっている。
エントリーモデルのTBS2000Bでも高度なトリガー機能の一部を持つことができるが、一般的な利用ではエッジ(Edge)を選択する。
TBS2000Bでは、トリガーを引き金と日本語に訳して画面に表示させている。
トリガー信号源を選択するのが、トリガーのソース設定である。TBS2000Bではトリガー源として入力信号もしくはオシロスコープを駆動している交流電源(ACライン)が選べる。通常は波形観測したい波形をトリガーのソースとする。
オシロスコープに入力された信号にはノイズが重畳している場合がある。そのため、トリガー制御回路の前にフィルターによって不要なノイズ信号を除去する回路があり、必要に応じてフィルターを選択する。
TBS2000Bでは、結合(Coupling)という設定画面によって、トリガー回路の周波数特性を選択できるようになっている。また、トリガー回路の感度を下げてノイズの除去をする雑音除去(Noise Reject)という機能も用意されている。通常はDCカップリングを選択する。
TBS2000Bでは、設定したトリガーレベルを信号が通過したときを基準に波形を観測する。信号が立ち上がり方向で通過するか、立ち下がり方向で通過するかの選択を行うのがスロープ(Slope)の設定である。
標準添付の受動電圧プローブを使った場合は、入力信号の電圧値をトリガーレベルとして設定する。TBS2000Bでは、標準的なロジックICで使われるレベルはプリセット値して用意されている。また、波形の振幅の50%点にトリガーレベルを自動的に合わせる機能がある。
最後にトリガーモードの設定を行う。トリガーモードには3つ用意されているが、通常はノーマルモードかオートモードのいずれかを使う。ノーマルモードの場合はトリガーが検出されない限り波形が表示されないので、波形の形が分からないときはオートモードを使うのがよい。
パルス列がバースト状に連続するような波形を観測する場合は、ホールドオフ機能を使ってトリガーが掛からない期間を設定することができる。
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