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安全に使うための注意点と単発現象の測定初めて使うオシロスコープ(3)(4/4 ページ)

本連載は初めてオシロスコープを使う人を対象にその基本的な使い方や使用上の注意点を解説していく。今回は、オシロスコープを安全に使うために注意すべき点と、単発現象の測定方法について説明する。

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レコード長とサンプルレートの設定(パルス波の場合)

 パルス信号を扱うデジタル通信の波形を観測するときは、単発現象の観測を行う。波形観測時間は、通信を行う単位を全て取り込むことになる。例えば、赤外線リモコンの場合は下記のようなパルス列をオシロスコープに取り込むことになる。


図11:赤外線リモコンからのデータ列の例[クリックで拡大]

 オシロスコープで測定するのは、受光素子から得られた信号もしくはロジックICの出力信号となる。通信データのロジックIC出力の波形品位まで観測しようとすると、一般に500MHz以上の周波数帯域が必要となる。そのため、TBS2000Bクラスのオシロスコープではロジック波形の波形品位まで評価することは難しい。長いレコード長を持つTBS2000Bは、赤外線リモコンのほか、自動車でよく使われるCAN通信や回路基板の中で使われるI2C通信などのデータ列の確認に使うのには適している。

レコード長を長くして取り込んだ波形を拡大する

 レコード長を長くして単発現象をTBS2000Bに記録した場合は、時間軸を拡大して波形の詳細を見る場合がある。時間軸方向に拡大する機能を使うには、パネルにあるズーム(Zoom)キーを押して設定機能を呼び出す。


図12:取り込んだ波形を時間軸方向に拡大するズーム機能の設定

 拡大する倍率は、画面にあるスケール(Scale)を選択してパネルにある汎用(Multipurpose)ノブで設定する。拡大する部分は、画面にある位置(Position)を選択してパネルにある汎用ノブで設定する。

【ミニ解説】レコード長が長いオシロスコープのメリット

 デジタルオシロスコープが登場したときのレコード長は、1000データ程度であった。当時のデジタルオシロスコープは、取り込んだ波形データをマイクロプロセッサによって表示波形に作り出していた。当時のマイクロプロセッサだけで波形データの処理を行うと、波形画像をスムーズに表示するにはレコード長を長くすることは難しかった。


図13:初期のデジタルオシロスコープのブロック図[クリックで拡大]

 現在のデジタルオシロスコープでは、画面に波形を表示させる機能は専用のDSP(Digital Signal Processing)回路を用いているため、大量の波形データは高速に処理されリアルタイムな表示ができるようになっている。このためデジタルオシロスコープは全ての面でアナログオシロスコープを超える製品となり、アナログオシロスコープはほぼ使われなくなった。


図14:現在のデジタルオシロスコープのブロック図[クリックで拡大]

 波形データを大量に記録できるようになって、利用者にとってよいことは下記の点である。

  1. 波形に含まれる周波数成分を広くできるようになり、低周波信号に重畳する高周波信号を同時に観測することができる。
  2. シリアル通信のように、決められた長さの情報を取り込まないと信号の評価ができない場合には、大量の波形データを取り込めるため作業性がよくなる。
  3. 発生頻度の少ない突発現象を把握するにはレコード長が長いほうが突発現象を補足する確率が高まる。
  4. 複数チャンネルのオシロスコープでは、信号間の関連性を長時間に渡って観測できるため、機器の動作を評価しやすくなる。

 TBS2000Bは5Mポイントのレコード長を持っているが、上位クラスのオシロスコープでは1Gポイントのレコード長を持つものがある。



転載元「TechEyesOnline」紹介

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