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安全に使うための注意点と単発現象の測定初めて使うオシロスコープ(3)(3/4 ページ)

本連載は初めてオシロスコープを使う人を対象にその基本的な使い方や使用上の注意点を解説していく。今回は、オシロスコープを安全に使うために注意すべき点と、単発現象の測定方法について説明する。

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単発現象をオシロスコープで測定

 水晶発振器からの信号のように繰り返し同じ波形が現れる信号波形を観測する場合と、通信信号のように波形が伝送するデータによって変化する信号波形を観測する場合がある。

 アナログオシロスコープしかなかった時代には、変化する波形を観測するときは表示管面に波形を記録して保持する特殊なアナログトレージオシロスコープ(テクトロニクスの464など)を使って単発現象の波形を観測していた。管面に記録された波形は保持できる時間に制約があり、時間とともに波形はぼやけていった。このため、波形を記録する場合は専用のオシロスコープ用カメラを使って画面を撮影した。

 アナログ信号の波形を高速A-D変換器によってデータ化してメモリに保存される仕組みのデジタルオシロスコープでは、単発現象を容易に記録することができる。デジタルオシロスコープでは、波形データを記録する部分と表示する部分が異なるため、記録した波形の拡大は容易だ。

単発現象を観測するための設定

 TBS2000Bでは、波形の補足(アクイジション)を切り替えるキーがパネル上部にある。通常は連続して波形を補足する状態になっているが、シングル(Single)キーを押すと、単発現象を記録できる動作モードに切り替わる。


図9:単発現象を測定するモードに切り替えるキー

 シングルキーを押すと、トリガーモードは自動的にノーマルトリガーとなる。トリガー信号を受けると、設定したレコード長まで波形を取り込んで表示する。

 TBS2000Bでは、トリガーソースとして入力信号のいずれかもしくは電源ラインとなっている。観測する波形とトリガー源となる信号が異なれば、入力の1つをトリガー専用にする。

レコード長とサンプルレートの設定(正弦波の場合)

 単発現象を観測する際は、波形の形からレコード長とサンプルレートを決めなければならない。例えば、440Hz音叉で発生させた音が減衰するまでに10秒間をマイクロフォンで観測したいとする。


図10:音叉からの音の波形観測

 オシロスコープで波形を観測する場合は、観測したい波形の最高周波の5倍以上の周波数帯域を持ったオシロスコープを選ぶ必要がある。440Hzが最高周波数とすると、2200Hz以上の周波数帯域があればよいことになる。TBS2000Bは十分な周波数帯域を持っているので問題はない。

 また、サンプルレートは、オシロスコープでよく使われるSin(x)/x補間では最高周波数の2.5倍以上が必要となる。最高周波数を440Hzとすると1100サンプル/秒(S/s)以上が必要となる。測定時間は10秒なので、11000データ以上のレコード長を確保すればよいことになる。

 実際の波形観測では440Hzの高調波ひずみ成分も見たくなるので、観測したい高調波ひずみ成分の周波数を最高周波数としてサンプルレートやメモリ長を決めていくことになる。

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