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SiCパワーMOSFETを採用した電源回路、配線レイアウトの考慮が高精度解析に不可欠SiC採用のための電源回路シミュレーション(3)(3/4 ページ)

SiCパワーMOSFETを採用した電源回路の回路シミュレーションを実行する際は、設計したプリント基板の配線レイアウトを解析し、その寄生インダクタンスや寄生キャパシタンスを分布定数として高精度で抽出する必要がある。

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PEProで配線レイアウトを解析

 次に、PEProを使って、さまざまな修正を加えたアプリケーションボードの配線レイアウトに対する3次元電磁界解析を実行する(図2)。これを実行すると、各配線のSパラメータを求めることができる。Sパラメータには、抵抗や寄生インダクタンス、寄生キャパシタンスなどの情報のほか、隣接した配線のクロストークなどの影響が含まれている。つまりSパラメータを求めれば、配線レイアウトの影響を考慮した極めて高い精度の回路シミュレーションが可能になるわけだ。


図2:3次元電磁界シミュレーター「PEPro」の表示画面[クリックで拡大] 出所:キーサイト・テクノロジー

 なおADSやPEProでは、アプリケーションボードの配線レイアウトのデータ形式として「ODB++(Open Data Base ++)」を推奨している。「DXF」や「Gerber」といったデータ形式ではない。DXFやGerberは、プリント基板の製造に向けたもので、層構成や厚さなどの情報(図3)のほか、ネット情報、電子部品の実装位置情報が含まれていない。このため、配線のSパラメータと電子部品のデバイスモデルを組み合わせる(再実装する)には、1つ1つ手動で設定する必要があった。電子部品のポート(端子)は、200〜300本程度あるのが普通であり、手動ではかなり骨の折れる作業だった。


図3:評価ボードの層構成
配線レイアウトのデータ形式として「ODB++(Open Data Base ++)」を採用しているため、評価ボードの層構成や厚さなどの情報が含まれている。[クリックで拡大] 出所:キーサイト・テクノロジー

 しかし、ODB++には電子部品の実装位置情報が含まれている。このためPEProが自動で設定する。ユーザーは、1クリックするだけで200〜300本ものポートの接続が一瞬で完了する。

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