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プライベート5G向けの産業用デバイス、設計検証時に考慮すべきポイントとはテストニーズにも言及(3/3 ページ)

台頭しつつあるプライベート5Gネットワーク。本稿では、プライベート5G向けの産業用デバイスを設計検証する際に考慮すべきポイントを紹介する。

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チャネルモデリングの必要性

 産業用デバイスの特性を考慮することに加え、効率的な5Gプライベートネットワークの実現には、産業用ネットワーク環境の特性を理解することが重要になります。図4に示すように、工場では高速回転する金属性の機械が多く使われており、物体のみならずユーザーも電波を妨害し、反射、屈折、フェージングを引き起こして信号を劣化させます。


図4:一般的な工場環境では、信号が遮断され、反射してしまう[クリックで拡大]

 工場環境を表現した信号伝搬モデルは、産業用デバイスの性能を検証するためには不可欠です。一般的な工場環境は、高い垂直スペース、金属面が含まれ、無線チャネルに非常に動的な影響を与えます。この環境を再現するモデルには、大きな仰角の広がり、マルチパス、反射、長い遅延スプレッド、動的な伝搬条件などが含まれる必要があります。

 産業用デバイスのアンテナは、基地局からの直接信号や反射した信号など、複数の信号を受信します。デバイスと基地局を分離してチャネルモデルを作成することが、モデリングプロセスの最初のステップです。チャネルモデルは、パスロスなどの伝搬要因を考慮し、基地局が信号を送受信する複数の経路と角度間の遅延を推定します。モデルの準備ができたら、図5に示すように、チャネルエミュレーターでモデルを再生し、その条件下でのデバイスのパフォーマンスを検証することができます。次に、ネットワークエミュレーターが基地局の代わりとなり、固定されたパラメータで再現性のある信号を生成します。しかし、デバイスは優れた条件で信号を受信する必要があります。デバイスをテストチャンバー内に隔離することで、デバイスの評価に必要な再現性の高い環境を実現します。


図5:チャネルエミュレーターは、難しい工場環境の要件を満たすデバイスのテストに役立つ[クリックで拡大]

 5Gプライベートネットワークのライフサイクルは、複数のステージにわたります。産業用デバイスの検証やコンフォーマンスは、最初のステップにすぎませんが、非常に重要なステップです。産業用デバイスのユニークな機能、それらの統合要件、複雑化が進むことにより、テストとチャネルモデリングの必要性を促す多くの課題を生み出しています。

 現在、5Gをサポートしている産業用デバイスはごく少数ですが、その理由の一つは多くの産業用デバイスメーカーにとってセルラー技術は新しいものだからです。これは、業界がDX(デジタルトランスフォーメーション)に向けて解決しなければならない課題となっています。そうした課題を解決するためのソリューションは、キーサイトを含め、複数のメーカーが提供しています。

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