光ファイバー通信の概要と分光測定器の基礎:光スペクトラムアナライザーの基礎知識(1)(2/9 ページ)
今回の連載では分光測定器の1つであり、光ファイバー通信分野の開発では必須の測定器となっている光スペクトラムアナライザーについて解説していく。まず、「光ファイバー通信の概要」「分光測定器の基礎」「レーザ光を使う際の注意点」について説明する。
光ファイバー通信の概要
光スペクトラムアナライザーを理解するためには、主に利用される光ファイバー通信について理解する必要があるため、概要を述べる。
光通信の始まり
古代より光を使えば早く情報が伝達できることは知られており、のろしを使って情報伝達が行われていた。その後、文字情報を送るための手旗信号が発明された。日本では1893年に、赤と白の小旗を持って日本語の通信を行う手旗信号が考案された。いずれも人の目を使った通信のため、天候によって到達距離は影響される。
1880年には、実用的な電話機を発明したアレクサンダー・グラハム・ベルと助手のチャールズ・サムナー・テンターがフォトフォン(photophone)を開発し、音声が光を使って213m伝送された。これが電話通信での最初の実験である。しかし、電波を使った無線通信が実用化されたため、光を使って空間を伝送する用途は家電製品の赤外線リモコンなど限られた用途でしか普及しなかった。
光ファイバー通信の始まり
空間を使った光通信は安定に長距離を伝送できない欠点があったが、現在では外部環境の影響を受けにくい特長を持つ光ファイバーを用いた長距離の有線通信が普及している。
現在の光ファイバーの構造は、1958年にインド人のナリンダー・シン・カパニーによって発明され、内視鏡に利用された。日本では、1963年に東京工業大学の学園祭で内視鏡用の光ファイバー束を使った音声の伝送実験が展示されたという記録が残っている。
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