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GaN FETの特性GaNパワー半導体入門(2)(1/4 ページ)

省エネ化/低炭素社会のキーデバイスとして、化合物半導体であるGaN(窒化ガリウム)を用いたパワー半導体が注目を集めている。本連載では、次世代パワー半導体とも称されるGaNパワー半導体に関する基礎知識から、各電源トポロジーにおけるシリコンパワー半導体との比較まで徹底解説していく。第2回である今回は、GaN FETの特徴であるスイッチングスピードに関して、他の素子と比較しながら解説する。

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 省エネ化/低炭素社会のキーデバイスとして、化合物半導体であるGaN(窒化ガリウム)を用いたパワー半導体が注目を集めている。本連載では、次世代パワー半導体とも称されるGaNパワー半導体に関する基礎知識から、各電源トポロジーにおけるシリコンパワー半導体との比較まで徹底解説していく。

 第2回である今回は、GaN FETの特徴であるスイッチングスピードに関して、他の素子と比較しながら解説する。

GaN FETの位置付け

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 FET(電界効果トランジスタ)といえば、電気回路や半導体回路のスイッチというイメージだが、電源回路においてはパワーを取り扱うスイッチになる。導通した時のオン抵抗や、オン/オフの瞬間のスイッチングスピードが主な性能指標となるスイッチ部品だ。

 FETには、マテリアル(材料)の違いからいくつかの種類があるが、おのおのの位置付けを図1に示した。横軸がスイッチング周波数(スピード)、縦軸が電源として設計上許容できる電力を表している。既存のマテリアル(材料)であるSi FETおよびIGBTに対し、SiC(炭化ケイ素)およびGaN FETが新しいマテリアルであるワイドバンドギャップ半導体と呼ばれ、それぞれSiCはSi IGBT、GaNはSi MOSFETに次ぐ位置付けとなる。SiCは、Si IGBTよりもスイッチング周波数が高く、より高電力を許容し、GaNはSi MOSFETと同等の電力を保ちつつ、さらなる高速スイッチングが可能だ。GaNは、図1内4種の中で最も高速スイッチングが可能なFETという位置付けといえる。

 GaN FETの注目すべき特徴は、まさにこのスイッチングスピードにある。Si MOSFETでは実現できない高速スイッチングにより、アプリケーションの小型/軽量化が期待できる。効率面も低オン抵抗となり、特にモビリティのアプリケーションにおいてはセットの重量が直接燃費効率へつながることから、今後は広い範囲でパワーマネジメント分野への応用が広がっていくだろう。


図1:各素子の特性比較[クリックで拡大]

GaN FETのスイッチングスピード

 ここで、GaN FETの特徴であるスイッチングスピードに注目し、実際に他のマテリアルと比べてどのようなスイッチング波形の違いが出てくるかを見てみよう。図2に、FETの仕様書にある基本テスト回路の一部を示した。動的動作を見ることができる測定回路で、LOW側のFETを数回オン/オフするとLOW側FETのスイッチング損失やHI側FETのリカバリー電流の観測、その数値計算にも使用できる。動作は、昇圧コンバーターやPFCコンバーターと同様で、LOW側FETオン時にLに電流が流れてエネルギーチャージを行い、OFF時にLにチャージされたエネルギーが電流としてHI側FETのボディーダイオードを通して流れる回路になる。


図2:FETのスイッチング特性測定回路[クリックで拡大]

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