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GaN FETの特性GaNパワー半導体入門(2)(2/4 ページ)

省エネ化/低炭素社会のキーデバイスとして、化合物半導体であるGaN(窒化ガリウム)を用いたパワー半導体が注目を集めている。本連載では、次世代パワー半導体とも称されるGaNパワー半導体に関する基礎知識から、各電源トポロジーにおけるシリコンパワー半導体との比較まで徹底解説していく。第2回である今回は、GaN FETの特徴であるスイッチングスピードに関して、他の素子と比較しながら解説する。

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各素子のスイッチング波形を見る

 次に、Si FETとGaN FETの実用上使用できるスイッチング周波数の境目である500kHzを出発点として、おのおののマテリアル(FETもしくはIGBT)の波形を見てみよう(図3

 FETもしくはIGBTの選定は、同じレベルのドレイン電流やオン抵抗の製品を選んでおり、IGBTは高速スイッチチングをうたうものを選定した。


図3:各素子のスイッチング波形[クリックで拡大]

 電流波形はどれも同じような三角波形に見え、電源回路として実用できそうだが、Si IGBTには大きく違うところがある。それはローサイドFET(IGBT)ゲートの立ち上がり波形だ。IGBTを100k〜1MHzで動作させたときの波形と比較すると違いがよく分かる(図4


図4:IGBTのスイッチング波形(周波数別)[クリックで拡大]

 ピンクで囲ったゲート波形の立ち上がり期間に注目すると、スイッチング周波数が上がるにつれて拡大しているのが分かる。500kHzの波形では、ゲート電圧が立ち上がりぎりぎりのところまでしかスイッチとしての動作を使い切れていない。パワースイッチを高効率で使用できるのは、ゲート電圧が立ち上がりきった時のオン抵抗(IGBTの場合コレクタ/エミッタ電圧)が低い状態なので、このように立ち上がり近辺の波形が立ち上がりきっていない状態では、電流波形がきれいでも使用には適していない。

 上記を踏まえて図3に戻ると、500kHz時のSi MOSFETおよびSiC MOSFETに関しては問題ないことが分かる。

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