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マイコンの仕様を超える条件で使ったら、何が起きる?【前編】ハイレベルマイコン講座(3/3 ページ)

本記事では、マイコンにストレスを与え続けて動作させた場合、どのような不良現象が現れるかを2回にわたり詳しく解説する。第1回となる今回は、最初に「マイコンにストレスを与える環境」について、次に「高温、高湿、高電圧状態で発生する不良現象とメカニズム」として「故障モード」「不良現象のメカニズム」について説明する。

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(2)不良現象のメカニズム

 「ショート」「オープン」「しきい値変動」を引き起こす原因には、次のようなメカニズムが挙げられる。

  • ショート/オープン
    • PN接合劣化
    • オーミック接触不良
    • 金属間化合物不良
    • 表面汚染
    • エレクトロマイグレーション
    • ピンホール
    • ネガティブバイアス
  • しきい値変動
    • 可動イオン
    • ホットキャリア注入
    • シリコンチップ(ダイ:Die)の物理的歪による圧電効果

コラム

 ここで、マイコンの製造工程やプロセス開発に携わった方は、そもそも「可動イオン」が発生するのは製造ラインの汚染が原因で、全製造ラインを洗浄し、その他にもさまざまな対策をしなければならない一大事だ!と思うかもしれない。しかしここでは、製造工程に汚染などがない環境で、正常に製造されたマイコンのゲート酸化膜やフィールド酸化膜の残留イオンを指す。どんな製造ラインでも全く汚染がない状態はありえない。少なからず、ごくごく微量の残留イオンがあり、今回はそのような微量な残留イオンが引き起こす「可動イオン」の現象を対象とする。

 ちなみに、不良品としての「可動イオン」は、各マイコンメーカーの製造ラインの管理が行き届いているため、めったに起きることはない。


 表2(a)、(b)に各メカニズムをまとめた。


表2(a):マイコンの不良現象のメカニズム[クリックで拡大]

表2(b):マイコンの不良現象のメカニズム[クリックで拡大]

 次回は、この表に記述されている各項目について詳細に解説する。

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