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電池の液漏れで故障したエアコンのリモコンを修理Wired, Weird(1/2 ページ)

今回は、電池の液漏れで故障したエアコン用リモコンの修理の様子を報告する。

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 SNSに友人の投稿があった。

じめじめが続いてエアコン活躍の時ですがリモコンが壊れて……。原因は電池の液漏れです。この液体は腐食性があるので基板のパターンが腐食して断線!! 最近の基板は作りが細かで、虫眼鏡とハンダごてで修理格闘中です。

とあった。

 早速SNSに投稿し、『リモコンを貸してもらえばタダでチャッチャと直しますよ』と入れたら、『私で無理なときは、またメッセージします』と返事があった。今回はリモコンの修理を報告する。SNSに投稿されていた写真を図1に示す。


図1:故障したリモコンの外観(左)と内部基板(右)[クリックで拡大]

 図1はエアコンのリモコン外観と内部基板で専用のLSIと水晶振動子やセラミック発振子が見えた。基板上に漏れたバッテリー液が広がっている場合は、高周波の発振が止まって修理にはかなり苦労すると思われたので、メッセンジャーで情報を入れた。

バッテリーの液漏れの件ですが、通常の不具合はバッテリーのバネや配線の腐食や断線ですが、漏れた液が基板上に流れるとパターンが切れて、部品のリードが腐食します。最悪のケースは、腐食したガスがリモコン内部に充満して離れた部品の表面を酸化して接触不良になります。

なお、漏れた液体は水に溶けますので水洗いし、ブラシで表面を軽くこすり液やサビを除去して、ドライヤーなどで乾かせば修理できることが多いです。

 その数日後に知人から連絡があり、結局、リモコンを借りて修理することになった。知人の自宅へ訪問したが、自然に囲まれた環境で木や草も多く、湿気が多い場所なのでエアコンは必須の場所だった。預かったリモコンに3Vの電池を入れ、劣化が疑われる高周波発振部に指で触れてみた。図2に示す。


図2:内部基板の発振素子周辺部の拡大写真[クリックで拡大]

 図2はLSIと発振素子の拡大図だ。時計用の水晶発振子と青色のセラミック発振子が見える。リード部分に異物が付着しているのが見えた。これが原因でLSIが動作しないのだろう。この周囲を指で触れたら、図3のように液晶パネルに表示された。ただし液晶の文字が読めない箇所があり、液晶のコネクターにも漏れたバッテリー液が入ったか、腐食性のガスが入った可能性が高い。


図3:リモコンの液晶表示の様子[クリックで拡大]

 自宅に持ち帰り、基板表面の詳細を観察すると、ハンダ面にもレジストが剥げた跡が見つかった。図4に赤四角で示す。


図4:内部基板のハンダ面[クリックで拡大]

 図4の右側でレジストが剥げたパターンが見えるが、部品面に実装されている電池から漏れた液がハンダ面のスイッチ側までに回り込んで広がったと思われた。

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