クラウドコンピューティングは、一般的によく知られた用語となっており、テクノロジーの世界で重要性とけん引力が増しています。クラウドとは簡単に言えば、インターネット上で提供されるサービスのことです。クラウドコンピューティングの背後にある概念は、データや情報へ迅速にスケーラブルなアクセスが可能なユビキタスインフラストラクチャを構築することです。クラウドは大規模なパブリックネットワークと定義し解釈される場合がほとんどですが、アクセスや許可を制限する安全な独自のネットワークを提供するプライベートクラウドサービスも存在します。
大部分の消費者は、フロントエンドのアクセスを通じてクラウドと接します。クラウドのフロントエンドには、ソフトウェア、アプリケーション、GUI、ストレージが含まれます。フロントエンドのユーザーインタフェースの幅広いオプションをサポートするために、クラウドには、電源、サーバ、データストレージ、コンピュータなどの重要なバックエンドインフラストラクチャが必要です。フロントエンドクラウドサービスの需要がますます高まる中、バックエンドシステムにもスケーラビリティと拡張性が求められます。
ResearchAndMarkets.comによると、世界のデータセンター市場は、2020年の191億米ドルから2025年には261億米ドルへと年率6.4%の成長が予測されています。クラウドコンピューティングの需要の増加に伴い、処理能力に対する要求も高まっています。「Recalibrating global data center energy-use estimates(世界のデータセンターにおけるエネルギー使用量推定値の再較正)」と題される最近の研究では、2018年にデータセンターが消費した世界の電力は205テラワット時、つまり205×1012Whrと算定されています。このように消費電力に対する要求が大きいため、効率と信頼性が優先されます。
クラウド電力変換
データセンターでは、ほとんどのラックで定格220Vの無停電電源装置(UPS)を使用しており、定格電力は1ラック当たり100kW近くになります。大半のコアプロセッサの定格電圧が2V以下であることを考慮すると、高電圧レベルを変換して分配する必要があります。さらに、定格電力が高いということは、それだけ大きな電流が流れるので、電力損失や発熱を最小限に抑えるために、効率よく電流を流す必要があります。大部分のサーバラックには、48Vバックプレーン電源があります。これはラック内の各サーバへの一次電源であり、サーバブレードとも呼ばれます。
特筆すべきは、これまで通信およびネットワークインフラストラクチャでは48Vが標準的な電源として使用されてきたことです。その理由は、一般的に人体に危険を及ぼさない、最大の電圧が48Vだとされているからです。通常、48Vを超える電圧を必要とする機器は、二重絶縁を施したうえ、さらに厳しい安全要件が必要とされます。また、48Vを超える変換では、機器だけでなく操作する人間も保護するためにグランド絶縁が必要です。
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