ワイヤーボンド(4) ―― 銅ワイヤーの評価項目とその注意点:中堅技術者に贈る電子部品“徹底”活用講座(74)(3/4 ページ)
今回はコストダウンの一環として導入が進められている銅ワイヤーの評価項目とその注意点について説明します。
銅ボンディングの評価
[ボイドの評価]
図3は従来の仕様に従ってアルミメッキ処理されたボンディングパッドに銅ワイヤーをボンディングし、120℃500HのPCTを実施したサンプルの断面SEM(走査電子顕微鏡)画像です。
試験後の拡大部Dには界面の酸化が見られます。また図示はしていないのですが断面のSEM-EDX解析では界面に酸素成分が見られ界面の酸化が広範囲に始まっていることを示しています。
図4は銅−アルミ間のボール接合界面の121℃-100%RH 加熱時間400HのPCT後のTEM(透過形電子顕微鏡)画像です。
接合面に観察されたクラック周辺にはAlの酸化物や塩素などが検出されています。したがってこのクラックは接合部のCu-Al金属間化合物(Cu9Al4など)の一部が封止樹脂中の塩素などと反応した結果と言えるかと思います。もっとも生成されたアルミ塩化物は熱エネルギーによって最終的にはアルミ酸化物に変化していくと考えられます。
[封止樹脂の評価]
表1中の図Bや前記図4の事例以外に図5の事例にも銅ワイヤーと封止樹脂の相性問題が取り上げられています。
図5によれば逆バイアスUSPCT試験(Bias HAST 96H)では脱ハロゲン樹脂でも塩素イオン(Cl-)が少ないほど良好であったことを示しています。これは別途の検討によると複数種存在する銅−アルミ金属間化合物の中でも銅比率が高い化合物が塩素イオンに腐食されると考えられる結果が得られています。なお金−アルミの金属間化合物は塩素イオンの腐食を受けません。
また図示はされていませんがPCCワイヤー*は脱ハロゲン樹脂Bでも336H程度で問題はないようです。
*PCCワイヤー:パラジュウム(Pd)コーティング銅(Cu)ワイヤー
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