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データセンター向けSSDをアプリケーションに最適化するメリットとは性能向上に加えて、3つの利点(1/2 ページ)

データセンター向けSSDを個々のアプリケーション要求に応じて最適化することで得られる、3つのメリットについて説明します。

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 ドイツの高速道路アウトバーンでは制限速度が設けられていません。時速90マイル(約150キロ)で走る車もありますし、時には時速150マイル(約240キロ)を超える速度で走る車もあります。ですが山奥の道では、どんなスポーツカーよりもオフロード車の方が早く目的地に到着できるでしょう。

同じSSDでも速度にかなりの差が出る場合も

 道路環境に適した車を選ぶことは、データセンターにおけるSSDの選択に似ているといえます。そして、データセンターの交通事情も実際の道路と同じく環境によって異なります。いつも高速道路を走るとは限りませんし、市道や砂利道を走ることもあるはずです。天候によっても運転スタイルは変わります。データセンターの環境でも同じことがいえます。データセンターで利用されるSSDは、多くの場合、カタログスペックを基に選ばれています。代表的なものに「ピークパフォーマンス」がありますが、これは視界の良い高速道路での走行を想定した数値といえます。常に高速道路だけを走る車がいないように、データセンターの環境においても高速道路を使う機会は多くありません。もし、高級スポーツカーで悪路を走り続けたらどうでしょうか。予想外に早く寿命を迎える結果になったとしても不思議ではありません。

 データセンターにおいても、できるだけ速く効率的にA地点からB地点へ移動するには、適切な機器の選択が重要です。HDDに代わって、SSDが広く普及した理由もここにあります。SSDはHDDに比べて、データの読み込みが約20倍、書き込みが最大で10倍速くなります。

 SSDは、昔ながらの回転する記憶媒体とは別格の存在ですが、同じSSDでもリード/ライトの速度にはかなりの差が生じる場合があります。この多くは、データにアクセスするアプリケーションによって生じます。ストリーミングメディアと、インタラクティブなクラウドアプリケーションや機械学習とでは、アプリケーションとSSDとの間のやりとりに必要なプロセスが異なるのです。AWS(Amazon Web Service)やMicrosoftのような大手クラウドプロバイダー、いわゆるハイパースケーラーが、時間、労力、リソースを投入して、独自のデータセンター設備を構成し、時には設計にも関わる理由の一つがここにあります。

専用ソフトウェアでSSDをチューニング

 こうした大手企業と異なり、小規模なサービスプロバイダーやデータセンター事業者は、サーバやストレージを個々の仕様に合わせる余裕がなく、既製のハードウェアに頼らざるを得ないのが実情です。そのため、さまざまな課題が発生します。例えば、標準的なSSDでは、不要となったメモリ領域を開放する「ガベージコレクション」という機能を定期的に実行する際に、速度低下が多発します。こうした現象は、映画のストリーミング再生時にイライラするような中断を引き起こしたり、オンラインショッピングの処理速度を低下させたりする原因となります。AWSやMicrosoftであれば、こうした問題に対処するためにSSDのハードウェア自体を調整することもできるでしょう。

 しかし、そうしたリソースを持たない小規模なデータセンター事業者であっても、個々のアプリケーションの要求に合わせてSSDをチューニングする方法があります。現在、最先端のSSDと、アプリケーションの利用状況を分析する専用ソフトウェアを組み合わせることで、さまざま情報を得ることができます。これによって、データセンターで利用しているアプリケーションがどれくらいの頻度で、どれくらいの速度でデータを書き込んでいるのか、データの書き込みはランダムなのかシーケンシャルなのかを知ることができるのです。そして、アプリケーションの動作を分析することで、SSDのファームウェアを最適化し、アプリケーションが必要とするものを正確に提供できます。また同時に、SSD内部での無駄な消去処理も削減できます。

<strong>図1:データセンター向けSSDソリューション</strong><br>最先端のSSDとアプリケーションの利用状況を分析する専用ソフトウェアを組み合わせ、個々のアプリケーションの要求に合わせてSSDをチューニング[クリックで拡大]
図1:データセンター向けSSDソリューション
最先端のSSDとアプリケーションの利用状況を分析する専用ソフトウェアを組み合わせ、個々のアプリケーションの要求に合わせてSSDをチューニング[クリックで拡大]

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